アジア最大級のディスプレー国際会議「25th International Display Workshops(IDW '18)」が、2018年12月12日から14日にかけて名古屋国際会議場で開催された。このIDW '18報告シリーズでは、筆者が興味を持った講演、ポスターおよび展示について報告する。第7回は、新規ディスプレーの創出に不可欠な、基本的な物理量の測定原理と装置について取り上げる。長岡技術科学大学によるフレクソエレクトリック係数の測定に関する発表である。同大の木村宗弘教授の研究室が“Ameliorated Method in Measuring Flexoelectric Coefficient e11+e33 by Means of Symmetric Oblique Incident Transmission Ellipsometry”と題して講演した(講演番号:LCTp1-9L)。

フレクソエレクトリック係数が注目される理由

 液晶ディスプレーに用いられているネマティック液晶(NLC)材料は一般に電圧(電界)で制御されており、印加電界の2乗に応答する(誘電応答と称する)。電界の極性は関係ない。これは、一般的にネマティック液晶分子の頭と尾が区別できない(反平行に並んでいる)ことで、分子が持っている双極子モーメントが打ち消されていることによる。

 ところが、例えば液晶分子が特殊な形状をしている場合、ある配向ひずみが生じたときに、分子の頭や尾の方向がそろってしまうことがある。すると双極子モーメントは打ち消されず、分極として認識される。ネマティック液晶でありながら「印加電界の極性に応答する」ということになる。

 これをフレクソエレクトリック分極といい、この分極が生じる現象をフレクソエレクトリック効果と呼ぶ。一般にこの分極を生じさせるのはスプレイ(splay:広がり)ひずみとベンド(bend:曲げ)ひずみといわれ、それぞれ係数(e11、e33:フレクソエレクトリック係数)がある(図1)。

図1 フレクソエレクトリック効果
(出所:長岡技術科学大学の資料)
[画像のクリックで拡大表示]

 フレクソエレクトリック効果は、液晶ディスプレーにおける焼き付き問題の原因であると考えられている。一方、この効果を用いた高速応答液晶の研究も発表されている。これらの背景から、フレクソエレクトリック係数の推定は、多くの液晶研究者の注目を集めている。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら