ニコンが、自社開発の大型フレキシブル基板向け露光装置を用いて、ウエットプロセス(湿式工程)により有機薄膜トランジスタ(OTFT)を試作した。その研究成果に関する「湿式工程による大型フレキシブル基板上への有機トランジスタの試作」と題した講演が、「2018年第79回応用物理学会秋季学術講演会」(9月18~21日、名古屋国際会議場)であった。同学術講演会から筆者が興味を持った講演を報告するシリーズの第9回は、この発表について報告する。ニコンの小泉翔平氏が講演した。

 OTFTはウエットプロセスで作製可能であり、優れた柔軟性を持つことから、ロール・ツー・ロール(R2R)方式による大面積フレキシブル基板上への作製が期待されている。安価な基板の候補としてはPETやPENなどが挙げられるが、これらの材料は熱的安定性に乏しいため、低温プロセスでの素子作製が必要となる。また、真空プロセスは高価な装置を必要とするため、ウエットプロセスでの素子作製が望まれる(図1)。なお、ニコンのR2R露光装置の開発に関しては、国際会議IDW '17の報告として、本コラムで「フィルム上にパターン形成、R2R直描露光機の性能向上」と題して報告している(関連記事)。

図1 ニコンの開発目標
(出所:ニコンの資料)
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 ニコンが開発した製造プロセスの特徴は、電極形成技術に無電解めっき法を選択した点にあり、低温かつウエットプロセスで配線を形成できる。OTFTなどの積層構造体を作製するためには平坦性も重要な要素だが、めっき下地膜にアミン材料を活用することにより、平坦性の高いめっき膜をフレキシブル基板上に形成した。無電解めっき法による低温・湿式材料形成技術を活用し、A4サイズのフレキシブル樹脂基板上にOTFTを作製した内容について報告した。

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