当たり前の話ですが、ビジネスとは、お客様が必要としている商品を提供し、その商品がお客様に与えた満足、喜びへの対価をいただくものです。「空腹な人に食べ物を提供する」「凍えている人にコートを提供する」ように、あらゆる商品はどんな人に買ってもらえるか、喜んでもらえるかを考えて作らなければなりません。ニーズが全ての始まりです。

 ところが、最近の半導体関連業界では少し違った会話が聞こえてくることがあります。「こんな凄い技術を開発した。何か良い使い道があるかな?」という声です。これは、ニーズを発見し、それを満たす商品を提供しようという発想から生まれたものではありません。自分たちの高度な技術の実現が目的化しているのです。

 おそらく、このビジネスに対する意識のずれは、日本がDRAMを盛んに製造していた時代にはなかったことでしょう。ムーアの法則が全盛だった時代、半導体ユーザーと半導体メーカーの目指す方向は一致していました。ユーザーは、より大容量のメモリーや高速なCPUを先月よりも安い価格で入手できることを期待し、メーカーは微細化技術の追究によってそのニーズに対応する商品を開発し、めでたく顧客の満足を得てビジネスを拡大しました。

 しかし、こうした美しい時代が永遠に続くことはありませんでした。32nmプロセスを境に微細化は極めて困難になり、微細化によるコストダウンという方程式が必ずしも成立しなくなったのです。微細パターンを形成するためには製造装置の高額化、プロセスステップの増加が避けられません。この結果、巨額な設備投資をしてファブをアップグレードしても生産能力は低下するという、これまでに考えられなかった状況が発生しました()。

図●32nmプロセスを境に減速する微細化の進捗
出所:SEMI World Fab Forecast

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