筆者は2019年9月上旬に韓国を訪れた。日本国内では対韓輸出管理強化などの話題が大きく取り上げられており、米国の同盟国として米中貿易摩擦の影響も懸念されそうなものだが、韓国ハイテク産業の悩みは別のところにあるようだ。

 1つは、主力商品であるメモリー価格の下落。この半年でDRAMもフラッシュメモリーも半額以下に価格が下がった。理由は、昨年の半導体供給不足と一部企業による買いだめの反動である。

 さらに切実な問題もある。現在、韓国は世界の有機ELパネルの大半を生産している。テレビもスマートフォン(スマホ)も同様だ。ここに中国勢が追い付きつつある。5年ほど前、韓国は中国の10年先を走っていると考えられていたが、現在、その差は1年まで縮まったという見方が多い。来年の米アップルのスマホ「iPhone」では、有機ELパネルのサプライヤーに中国メーカーが加わるという情報がある。現在1枚100米ドル前後と高値で推移しているフィルムタイプ有機ELパネルにも価格競争が訪れるだろう。

 そのような状況の中、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は108Mピクセル(1億800万画素)のCMOSイメージセンサー「Samsung ISOCELL Bright HMX」を2019年8月12日に発表した(英文プレスリリース)。現在存在するモバイルカメラの最大画素数は4000万画素と思われる。文字通り “ケタ違い”の画素数で市場拡大を狙うといったところだ。しかも、現在背面に複数搭載されているカメラを置き換えるのではなく、追加装備を狙っているようだ。SNSにけん引される高性能カメラは、更なる進化を続けるのだろう。

 カメラの“搭載場所”として、ディスプレーも更なる進化を遂げようとしている。現在、ディスプレー面に設置されるフロントカメラ(前面カメラ)は、ディスプレー部に切り欠けを設けたり、穴を開けたりして設置している。これもディスプレーメーカーには高度な加工技術が要求されるものだ。だが、次世代ディスプレーでは有機ELパネルの一部に目の粗い「網戸」のような箇所を設け、その下にカメラを設置する研究が行われている。ユーザーの目にはどこにカメラが設置されているか分からない。実用化は2021年ごろになるとみられる。

サムスンの次世代ディスプレーのイメージ。ディスプレーの一部分に画素の粗い部分を作り、この下にカメラを設置する。ノイズ対策や画像補正など、プロセッサーへの負荷が大きくなる(図:フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)
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 日韓関係は緊張状態にあると報じられているが、筆者と会って下さった方々は変わらず親切で丁重に接して下さった。この場をお借りし、変わらぬ友情にお礼を申し上げたい。

 韓国を来訪する前には、高性能プロセッサーを中心に先端ICの技術を語り合う国際会議「Hot Chips 31」(米国カリフォルニア州シリコンバレー)が2019年8月18日から3日間、スタンフォード大学で開催された。Google Cloudを動かしているプロセッサーの実物展示や、Hot Chips初登場となる電気自動車メーカー、米テスラ(Tesla)の講演など、話題が満載だった。

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