“崖”づくり

 この建物の決め手は外観の“崖感”である。計画当初は構造体自体をこのジグザグした形に打設する計画であったが、複雑な形状を少しずつ打設していく計画は、外壁の耐候性や耐久性の面でデメリットが大きかった。そこで、外壁はできる限り大きな面積を一度に打設し、“崖”は外壁の構造体とは独立したPCaのピースでつくることにした。

 PCaのピースで“崖感”を生み出すには、その配置と適度なランダムさが非常に重要になる。しかも、ピースを支持するブラケットは外壁のコンクリートを打設する前に設置するため、その位置を正確に再現できるようにする必要があった。そこでアラップは3次元(3D)モデルを使ったパラメトリック・スタディーを行い、建築家のイメージする“崖”ができるまでピースの配置や部材形状のスタディーを繰り返し行った。ブラケット形状や位置まで正確に表現した3Dデータのおかげで、1個の最大長4m・重量2tある2400個以上にも及ぶピースは現場で寸分の狂いなく組み立てられ、見事にスコットランドの“崖”を生み出した。

プレキャストコンクリートのピース(写真:©Ross Fraser McLean)
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