建物内の線路を保存し記憶とどめる

巨大な“車両型”テーブル。テーブルは保存された線路の上に置かれ、線路に沿って可動する(写真:© Arjen Veldt Fotografie)
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 ここが鉄道の修理デポだった記憶をとどめるための心憎い工夫も見られる。建物内まで敷かれた古い線路は部分的に残し、その上に可動する3つの“車両型”テーブルを置いた。テーブルは、カフェの延長としても使えるし、3つをつなげることでステージ的な活用もできる。線路に沿ってテーブルは外部へと移動することも可能だ。

LocHal内部。内部の様々な場所で本が読め、コミュニケーションのスペースがある(写真:© Arjen Veldt Fotografie)
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LocHal内部。既存の構造体が残る閲覧スペース(写真:© Arjen Veldt Fotografie)
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 LocHalの環境計画と温度制御は難しい課題の1つだった。不特定多数の人に利用され、様々な用途が混在するこの施設において、エネルギー効率の良い環境を提供することは複雑な仕組みが必要であると容易に想像がつく。アラップは、詳細な現地調査と高度なシミュレーションを設計プロセスの中で繰り返すことで、要求を満たすための検討を進めていった。

 最終的には、「ユーザー主導の空調=居住域を優先した空調」を実現するという結論になった。小さい部屋は個別の温度制御を行う一方、大空間については全体を空調することはやめ、階段状の座席のような人が触れる場所に限定して冷暖房を行うようにした。