テレンス・コンラン卿が「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称するほど、多彩な才能で注目を集めるトーマス・ヘザウィック。彼が率いる設計事務所、ヘザウィック・スタジオの新しいプロジェクトが、再開発が進むロンドンのキングスクロス地区でまた1つ完成した。今回紹介する「コール・ドロップス・ヤード」は、石炭を積んだ列車が、その上階に入り込んで停車。貨物列車の底が開いて、石炭を倉庫に「ドロップ」(落下)させて保管していた場所だ。ヘザウィック・スタジオとアラップのリノベーション手法を、構造エンジニアが紹介する。(菊地 雪代/アラップ)

 ロンドン中心部、大英図書館のほど近くに位置する「コール・ドロップス・ヤード(Coal Drops Yard)」。1850年代に建てられたこの建物は、かつてはその名の通り石炭の集積場だった。1980年代に起きた大火を境に使われなくなったこの歴史的建造物が、ヘザウィック・スタジオ(Heatherwick Studio)とアラップとのコラボレーションにより新たなランドマークとして生まれ変わった。今回はその実現のウラに潜む工夫を、アラップが用いた最新技術を交えながら紹介する。

生まれ変わった建物正面。2棟をまたぐ屋根は、頂点で“キス”するように繊細につながれている(写真:© Hufton+Crow)
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建物内観。屋根の頂点の真下からのぞいた様子(写真:© Hufton+Crow)
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