海上で風を受けて回転するプロペラ。洋上風力発電のタービンが並ぶ景観は、他の方式の発電所とは趣を異にしている。ただ、実際に目にしたことがある人は、まだほとんどいないのではないか。

幻想的にも見える洋上風力発電ファームの景観。タービンの回転軌跡は直径100m以上にもなる。中央付近に小さく変電所が見える(写真:©Arup)
[画像のクリックで拡大表示]

 現在、その洋上風力発電に注目が集まっている。

 再生可能エネルギーというと、太陽光発電を中心に広がりを見せてきたが、設置場所の確保、取引価格の下落、メンテナンス不良による発電効率減など、国内ではブームが一巡したとも言われている。

 一方、風力発電は、欧州において2000年に本格的な洋上風力ファームができ、2008年ごろから普及し始めた。成長率が高く、さらに期待が集まる発電方法だ。日本では、陸上・洋上合わせて、2050年までに7万5000MWの発電能力を国内に備える導入目標が示されるなど、クリーンな発電への期待は高い。また、タービンの軸受けの製作に関しては、日本の企業が世界のトップに食い込むなど、メーカーの技術輸出面でも期待が高まる。

風が強く吹くことで、波も高いが多くの発電が可能(写真:©Arup)
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに洋上の場合は、一般的に陸より風が強く、冬など悪天候時の暗く、寒く、電力が必要とされる時に、より多くのエネルギーを生産することができるという利点がある。

 それでも洋上風力発電が進まない理由の1つは、その建設コストだ。一般的には、陸上の風力発電に比較して、30~40%ほど建設コストが高いと言われている。主な要因は、海底ケーブルの敷設だ。

 また、海上にある変電所は常に湿度100%程度で、塩害もある。メンテナンスが必要な時には大概、海が荒れていて、作業員が近づけないなどの問題もある。

モノパイル(一本柱)式の風車のメンテナンスに向かう様子(写真:©Arup)
[画像のクリックで拡大表示]

 では、洋上風力発電を拡大する鍵は、どこにあるのだろう?

 「まずは、開発コストと運用コストを削減することだ」

 「洋上風力発電は、電力の安定した価格を維持するために、大幅に安価なエネルギーを提供するか、間欠性の問題を解決する必要がある。どちらも難しい課題だが、日々技術は進化しており、いずれリスクの回避ができるはずだ」

 以下、アラップの洋上風力発電の専門家、キャメロン・ダンが解説する。