香港で5月末、ヘルツォーク&ド・ムーロン(H&deM)が設計を手掛けたヘリテージ&アートセンターがオープンした。大きな建物、特に口語で警察署を意味する「大館(Tai Kwun)」。人々は親しみを込めてそう呼ぶ。

大館(Tai Kwun)の外観。 コートヤード部分の広さと、周囲の高層ビルが対照的だ(写真:© Arup)

 大館は1万3600㎡の複合施設だ。既存の16棟と新築の2棟の建築群から成り、その中核は英国領時代の1841年につくられた旧中央警察署、旧中央行政長官事務所、旧ビクトリア刑務所である。まだ香港が今のように高密度に開発される前の時代につくられているので、建物群は低層で、コートヤードを広く設けたつくりが特徴となっている。

 現在、その地域は香港島の商業中心地となり、大館は香港では最も重要な歴史的遺構となった。2006年に閉鎖されてからは使用されていなかったものの、この空間だけはゆったりとして都市における中庭のような存在で、周辺の高層ビル群と好対照を成していた。

コートヤードから新築である「JCキューブ」のピロティ部分につながる大階段。「ランドリーステップ」と呼ばれる。歩行者の動線を確保しつつ、簡単な観客席のような役割も果たす(写真:©Arup)
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