近年、アフリカへの注目度が増す一方で、アフリカの現代建築に関する情報は非常に限られているのが現状ではないだろうか。昨年オープンした、南アフリカ最大の美術館は、1924年に建設された穀物貯蔵庫を美術館にリノベーションしたもの。美術館を訪れる習慣が無い土地において、いかに建築がアイコン的な役割を果たし、内部に人々を引き寄せるか。その環境デザインについて、東京事務所のライティングデザイナーが解説する。(菊地 雪代/アラップ)

 2017年9月にオープンし、南アフリカ最大の美術館となった「ツァイツ・アフリカ現代美術館(Zeitz MOCAA)」。ケープタウンのビクトリア&アルフレッド(V&A)ウォーターフロントに位置する1924年に建設された穀物貯蔵庫が、アフリカ大陸初の現代美術館として生まれ変わったものだ。延べ面積6000m²に及ぶ 80もの展示室に加え、上層階にブティックホテルを配している。

林立する貯蔵用チューブをくり抜き、コンクリートの仕上げをあらわにしたアトリウム空間。チューブ上部のスカイライトにより、自然光を採り入れている(写真:© Arup)
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 2001年以降使われず、街なかの産業モニュメントと化していた建物に、V&Aウォーターフロント周辺開発の訪問者をいかに引き込むか。設計を手掛けた英国のデザイン集団、ヘザウィック・スタジオは、貯蔵用チューブが内部に林立する建物を新しく美術館へと変換するコンセプトを打ち出した。

 建築の中心には、チューブのなかにダイナミックにくり抜かれたアトリウム空間が据えられている。幾層もの仕上げ材が剥がされ、オリジナルのコンクリートを露出したアトリウムは、かつてそこに納められていたトウモロコシの粒を3Dスキャン、高さ27mに拡大して形づくられたものだ。

建物の中心に位置するアトリウム空間はユニークな形状をしている。貯蔵庫内部に残っていたトウモロコシの粒を3Dスキャンして拡大した形状にくり抜かれた(資料:© Heatherwick Studio)
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