日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビジョンの民放5社は2019年12月から2020年2月にかけて、関東地区のインターネット接続テレビを対象に、視聴者を特定しない仮名の視聴履歴をインターネット経由で収集・集約する技術検証実験を実施する。12月13日に各社がプレスリリースで明らかにした。

 こうした技術検証は2019年初頭に実施した実験に続いて2回目。今回はデータの収集・集約に必要な技術仕様の標準化やデータの取り扱いルールの策定を目指す。総務省から野村総合研究所(NRI)への委託調査研究の一環で実施する。

 集約したデータはサービスの品質向上や番組制作に活用するほか、他のデータと組み合わせて広告配信に応用する可能性についても机上検討を進める。

 視聴履歴を集約する期間は2019年12月18日~12月20日(技術テスト)と2020年1月14日~2月4日。視聴中のチャンネルや視聴時刻、IPアドレス、利用者が受信機に設定した郵便番号、受信機を識別するため独自に振り出した5社共通のIDを収集する。

 具体的には、参加放送局のチャンネルに合わせると、画面には表示されないデータ放送画面(透明スクリーン)が立ち上がり、視聴履歴をインターネット経由で放送局のサーバーに送信する。

視聴履歴の収集方法
(出所:視聴関連情報の取扱いに関する協議会「オプトアウト方式で取得する非特定視聴履歴の取扱いに関するプラクティス(Ver1.0)」)
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 これらの情報について、民放5社は「特定の個人を識別できる情報を含んでいません」(5社リリースより)とし、個人情報保護法が定めるところの個人情報には当たらないとしている。

 集約した視聴履歴は、放送局や調査会社などが「個人情報を含まないデータ」(同リリース)と組み合わせて分析する。放送局がテレビから収集したIPアドレスを基に、放送局が提供するWebサービスの利用履歴や、広告関連企業や調査会社などから購入した属性データなどと突合することを検討する。

視聴履歴を他のデータと組み合わせて活用
(出所:視聴関連情報の取扱いに関する協議会「オプトアウト方式で取得する非特定視聴履歴の取扱いに関するプラクティス(Ver1.0)」)
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 プライバシーへの配慮や告知の方法などの検討は、NRIが設置した有識者からなるアドバイザリーボードの助言を受けながら進める。5社はプレスリリースを配信した13日夕方のニュース番組で実験について取り上げたほか、1月の本実験に向けて自己検証番組などで継続的に告知を続けるという。実験期間中は各社のデータ放送のトップ画面に「5社共同実験」のボタンを置き、実験の説明ページとオプトアウト画面に遷移できるようにする。

2017年の法改正を機に「解禁」

 視聴履歴の利用について、総務省はこれまで課金や統計の作成以外の利用を認めていなかった。それが2017年の個人情報保護法改正に伴い、「放送受信者等の個人情報保護法に関するガイドライン」を更新して利用を解禁した。ただし、特定の個人や世帯とひも付く視聴履歴については、本人の事前同意を前提するなど厳格な規定を設けた。

 一方、視聴者の氏名や住所などの情報とひも付かない視聴履歴(非特定視聴履歴)については、総務省は同ガイドラインで扱いを明確に定めず、「非特定視聴履歴の取得前に同意を得ること又は取得に関する告知を徹底することなどの取扱い」について自主ルールなどを作成するよう促すにとどめていた。

 これを機に民放各社やテレビメーカーが協議会を立ち上げ、2019年3月に「オプトアウト方式で取得する非特定視聴履歴の取扱いに関するプラクティス(Ver1.0)」を取りまとめた。今回の実験もオプトアウト方式の手法などについて同プラクティスを踏襲しつつ、さらなる安全・安心を確保する方向での改訂を視野に入れて検討するとしている。

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