約3分の映像を眺めた際の視線を解析することで、認知症の早期診断につながる――。大阪大学大学院医学系研究科の研究グループは、目の動きを解析し認知機能を評価する技術を開発。認知症の診断を支援するソフトウエアなどを開発するため、大阪大学発ベンチャー企業のアイ・ブレインサイエンス(大阪府茨木市、高村健太郎社長)を2019年11月に設立した。

 認知症の診断では、被験者が医師や看護師と対面し認知機能を評価するための問診を受けるのが一般的だ。問診の種類はいくつかあるが、長いものだと約1時間かかる。問診を受ける被験者は緊張状態が続くなど心理的な負担が大きかった。他にも「現状の問診形式では、回答を間違えた時に大きく落胆したり、簡単すぎる質問内容に気分を害したりする被験者も少なくない」と大阪大学の武田朱公寄付講座准教授は問診の課題を指摘する。

 武田寄付講座准教授と森下竜一寄付講座教授らの研究グループが開発したのは、目の動きを解析し認知機能を評価する技術。映像や答えを目で眺めるだけなので、被験者が声に出して答える必要が無い。被験者が恥ずかしさなどを感じにくくなるなど心理的負担が減る可能性がある。

目の動きを解析し認知機能を評価するイメージ
(出所:大阪大学)

 被験者はタブレット端末を利用し、ワーキングメモリーや判断力、記憶、空間認知機能などを評価するための映像を見る。赤外線カメラが映像を見ている時の被験者の視線を高度に検出して記録。取得したデータを基に、研究グループが開発したAIのアルゴリズムで解析し認知機能をスコアで示す。認知機能のスコアは従来の標準的な認知機能の検査法の結果とも高い相関を示しているという。研究成果は2019年9月に米国科学誌「Scientific Reports」(オンライン)に掲載された。

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