「日を追うごとに参加企業が増えている。それだけ注目されている証左だ」――。こう胸を張るのは、車載に向けた新しい高速インターフェースの普及促進団体「Automotive SerDes Alliance(ASA)」で議長(Chair)を務めるStefan Brunner氏である。

 ASAは2019年5月にキックオフミーティングを開催。そこから約半年ほどが経過した11月末時点で、既に30以上の企業や団体が参加するまでに至っている。例えば自動車メーカーではドイツBMWや韓国・現代自動車(Hyundai Motor)が、大手車載部品メーカー(ティア1)ではドイツ・コンチネンタル(Continental)が、大手車載半導体メーカーではオランダNXP Semiconductorsが名を連ねている。日本企業では、メガチップスや日本航空電子工業、村田製作所、ルネサス エレクトロニクス、ソニーが参画している。

2019年11月15日時点のASAの参加企業。会員には、主導的な立場の「Promoter」と、一般の「Adopter」の2種類がある。(図:ASA)
[画像のクリックで拡大表示]

 ASAが取り組むのは、ピア・ツー・ピア(P2P)の車載向け高速インターフェース(SerDes)の仕様策定とその標準化である。ADAS(先進運転支援システム)向けのカメラや車載ディスプレーといった高画素、高フレーム速度の映像データをやり取りする用途や、LiDARやレーダーといったセンサーなどでの利用を想定する。

ASAが想定する、高速インターフェース(SerDes)のユースケース。図中のグラフは、BMWが自動車メーカーに実施したアンケートの結果である。ディスプレーとカメラをユースケースに挙げる企業が多かった(図:ASA)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした用途に向けて、これまでは半導体メーカーが独自の高速インターフェースを提供してきた。そのため、自動車メーカーやティア1などの立場からすると「A社の送信ICとB社の受信ICで通信できない」といった相互接続性(インターオペラビリティ)の問題や、基本的に1社供給となってコストが高止まりしやすいといった課題があったという。今後、自動運転化によってADASや各種センサーの採用や機能向上が一層進む。メインディスプレーの大型化やメーターなどのクラスターのディスプレー化、ヘッドアップディスプレーの採用などもさらに浸透する見込みだ。

 そこで、前述の課題を解決するために自動車業界はASAを立ち上げた。車載向けに新たな高速インターフェースを標準化し、相互接続性を確保する。これにより、複数の半導体メーカーから対応の送受信ICを調達してコストを削減するのが狙いである。半導体メーカー、特に車載カメラやディスプレー、センサー向けの高速インターフェースで後塵を拝してきた企業にとって、競合に打ち勝って売り上げを伸ばす絶好の機会となる。

 これに対して、P2Pの車載向け高速インターフェース(SerDes)で存在感を発揮していたメーカーにとっては厄介だろう。実際、「FPD-Link」を手掛ける米TI(Texas Instruments)や「GMSL」を手掛ける米マキシム(Maxim Integrated)、「APIX」を手掛けるドイツInova Semiconductorsは、2019年11月15日時点でASAに参画していなかった。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら