「2024年度に国内市場は18年度比5.4倍の5073億円に達する」──。

 インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は2019年3月、国内のドローン(無人航空機)ビジネスの市場動向調査の結果を発表した。24年度に現在の5.4倍に伸びる市場成長をけん引するのは、インフラの点検や測量、農薬散布、物流などに使う産業ドローンの利用の本格化である。

 国内で進む高齢化や人口の減少による労働者不足の問題に対処するため、ロボットの活用が期待されている。その中で、「空飛ぶロボット」とも呼ばれる産業ドローンは、航空法の規制がない地上150m未満の空域を新たな経済圏にするとして、大きく注目されている。

 日本政府も22年度をめどに「レベル4」のドローンの社会実装を目指している。レベル4とは、有人地帯での目視外飛行のこと。現状で可能である、無人地帯での目視外飛行の「レベル3」とは意味合いが大きく異なる。そこには、人口密度が高い地域を含む有人地帯で補助者なしの自動航行ができるレベル4を実現できなければ「産業として大きくならない」(内閣官房小型無人機等対策推進室)という考えが日本政府にはある。

 日本政府は19年度内に、レベル4の実現に向けて制度設計の基本方針を策定する。具体的には、地上に堕ちた際や空中で他の物体と衝突するリスクに応じてルールを作っていく。

世界シェア7割の巨人DJI

 ところが、成長が約束された産業ドローン分野の開発・製造で日本が存在感を示せるかと言えば、実は心許ない状況にある。立ちはだかるのは、国を挙げて産業を支援する“ドローン大国”の中国である。ドローン産業の市場規模は、20年にも1兆円に達するとの見方もある。

DJIは2019年9月にドイツ・ベルリンで開催されたコンシューマーエレクトロニクスの国際見本市「IFA 2019」で、同社のフラッグシップであるドローン「MAVIC 2 PRO」の飛行デモを披露した
(写真:日経 xTECH)
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 その象徴が民生ドローンで約7割もの世界シェアを持つと言われる中国ディージェーアイ(DJI)である。同社は2006年に深セン市で創業し、12年に「Phantom」シリーズの1号機を発売した。以来、カメラを搭載した空撮用ドローンの開発で競合他社を大きくリードしている。

 ドローンの頭脳は「フライトコントローラー」にある。搭載する各種センサーのデータを基に、機体の傾きや角度などの情報を検知して演算処理し、回転翼のモーターの回転数を指示して機体の姿勢を制御する。DJIはこうした制御面の開発はもちろん、使いやすいパッケージにも定評がある。加えて、主に空撮を目的とする民生ドローンとは要求が異なる産業ドローンでも他社をリードしている。

 DJIは中国でも突出した存在だが、他にも機体を開発するメーカーが数多くある。中国のドローン事情に詳しい東京大学社会科学研究所准教授の伊藤亜聖氏は「中国のドローン関連の展示会に行くと、会場には機体ばかりが並んでいる」と話す。その背景には、中国ではドローン開発のエコシステムが確立しているという現実がある。

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