EC(電子商取引)サイトの売り上げが伸びる一方で、店舗の売り上げが下がってしまう――。ここ数年、アパレル企業を悩ませている課題の1つだ。ECは魅力的な販路であるが、これまで店舗主体でビジネスを展開してきた企業にとって、店舗の売り上げ減は何としても避けたい事態である。

 そうした課題を乗り越え、ネット時代におけるアパレル販売のモデルケースになりそうな企業が存在する。衣料品店「チャオパニック」や「カスタネ」など40以上のブランドを持ち、全国に900店超の販路を抱えるアパレル大手のパルグループホールディングス(GHD)だ。

パルグループホールディングスは40以上のブランドを運営し、全国に900店超の店舗を構える
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 同社は2020年2月期に2期連続の過去最高益を見込むなど、アパレル不況と言われるなかでも好調を維持する。2020年2月期のEC売上高は4年前と比べて約4倍の200億円まで膨らむ見通しで、店舗の売上高も上期(2019年3~8月期)が前年同期比0.2%増だった。同業他社が店舗の売り上げを落とすなかでリアルの販売に粘り強さを見せている。

販売スタッフにSNS活用を推奨

 パルGHDの強さの秘密はどこにあるのか。取材で分かったのは、デジタルを駆使したネット時代になじむ独自の販売戦略だ。

 同社は店舗で働く販売スタッフにSNSの活用を推奨している。「従業員の大半を占める販売スタッフに、ネット上でも活躍してもらおうと考えた」と、パルGHDの中核事業会社パルの堀田覚執行役員WEB事業推進室室長は狙いを説明する。取り組みに本格的に着手したのは2017年に遡り、その先手が今、業績を押し上げている格好だ。

パルの堀田覚執行役員WEB事業推進室室長
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 同社ではインスタグラムと、ZOZOのコーディネートアプリ「WEAR」の合計のフォロワー数に応じて毎月の給与に特別手当を支給する。手当の額は非公表だが平均で数万円とみられ、フォロワー数が増えれば青天井で支給するようだ。販売スタッフ4000人のうち1000人が会社公認のSNSアカウントを持っており、全スタッフの合計フォロワー数は350万人に上る。

 特徴的なのはSNS投稿の自由度の高さだ。公序良俗に反する投稿をしないといった最低限のマニュアルはあるが基本的に投稿内容は自由。むしろ「ブランドと関係ない投稿を推奨している」(堀田執行役員)。

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