香港生まれのFinTech企業クオンティフィード(Quantifeed)は2019年11月、日本市場に参入した。同社はAI(人工知能)などを使って資産配分を自動化する技術「ロボアドバイザー」の基盤システムを、金融機関向けに販売している。今回、東京都が進める「国際金融都市」構想の下、誘致企業50社の1社に選ばれた実力を持っている。

 同社のサービスを使うと、金融機関はロボアドサービスの独自システムを容易に構築できる。様々な金融機関がロボアドサービスを提供すれば、利用者の選択肢は広がる。歩みの遅い「貯蓄から投資へ」の流れを加速できるか期待がかかる。

資産運用サービスを万人に

 クオンティフィードは銀行や証券会社がロボアドバイザーのシステムを構築するのに必要な基本機能を提供する。具体的には利用者ごとの条件に応じた株式や債券といった金融資産の配分設定、運用成績の実績の図示、運用成績のシミュレーション、運用成績と目標を加味した資産配分の見直しアドバイス――などだ。利用者が設定する条件については退職後の資産作りや教育資金の確保といった資産運用の目的、目標額、期間、リスク許容度など様々だ。

 利用者の要望に応じて、「目標金額重視型」や「リスク重視型」といった運用タイプを選べる。「テーマ」を付けた運用も可能だ。例えばハイテク材料やロボットといった業界単位で銘柄を選べる。

 金融機関は機能を追加したり画面を再デザインしたりして、自社独自のロボアドサービスを提供できる。基盤システムの運用形態はクラウド経由か自社内に設置・運用するオンプレミス、または両方を兼ねたハイブリッド型を選べる。

 クオンティフィードは一連の機能を「ウェルスケア」と称する。人間が健康診断を受けて身体の状態を把握するように、金融資産の状況を診断し、問題点を発見して手を打てるという意味だ。

 「従来の資産運用サービスは主に富裕層を対象にしたもの。しかし金融ニーズは万人にある。健康診断を受けるような簡便さで、資産運用サービスを(資産)ピラミッドの頂点にいる人たちからより幅広い層へと届ける手助けをする」。創業者のアレックス・イプシランティ最高経営責任者(CEO)は同社のシステムの意義をこう説明する。

「期待する顧客層は若年層。資産が毎月増えていく楽しみを提供したい」と語るイプシランティCEO
[画像のクリックで拡大表示]

 この言葉通り、同社が金融機関を通じて提供する資産運用サービスの主なターゲットは一般のビジネスパーソンだ。利用者ごとに専任の資産運用担当者がつく富裕層向けの資産運用サービスに比べて使う層はぐっと広がる。このため基本的な資産運用機能を自動化しており、「金融機関がサービスをより容易にスケール(拡大)できるようにしている」(同)。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら