ネジの開発などを手掛けるNejiLaw(東京・文京)は、カシオ計算機と共同で構造体の健全性を測定するネジ「smartNeji(スマートネジ)」の開発を進めている。ビルや住宅、道路、自動車などあらゆる構造体で使われるネジ自体をセンサー化し、損傷や老朽化の状況を遠隔地からリアルタイムに把握できるようにする。

NejiLawは建物や交通インフラなどあらゆる構造体の情報をスマートネジで収集する構想を描く
(出所:NejiLaw)
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構造体に残っている応力を可視化

 スマートネジは応力や加速度、温度などを測定するセンサーを組み込んだネジ。センサーで測定した情報は、ネジ上部の給電・演算・通信回路を担う部分を介して無線通信でデータセンターに集約する。カシオ計算機の時計「G-SHOCK」の技術を生かして省電力かつ衝撃や水、熱に強い回路を開発中だ。

スマートネジの構成
(出所:NejiLaw)
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スマートネジの情報伝達の流れ
(出所:NejiLaw)
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 建物の梁(はり)や基礎など構造体の接合に使われる一部のネジをスマートネジに替えれば、各部分の応力を機械学習して構造体全体にかかる応力分布を可視化できる。

ネジにかかる応力を基に構造体全体の応力分布を可視化できる
(出所:NejiLaw)
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 NejiLawの道脇裕社長は応力をリアルタイムに可視化する重要性を強調する。地震や台風などで衝撃が加えられた構造体では、揺れが収まったとしても衝撃による応力が構造体に残っている可能性があるからだ。「熊本地震では一度被災した後、2度目の大きな揺れで倒壊した建物があった。応力をリアルタイムに可視化して知らせる仕組みがあれば、最初の揺れで倒壊しなかった建物の住民に避難を促せたかもしれない」(同)。

 スマートネジはネジの締結作業にも有効だ。締め具合を示す軸力を作業中に可視化すれば、技術力の低い人でも作業しやすい。これまではネジを締め付けるトルクを基に軸力を算出していたが、換算の際に誤差が生じていた。スマートネジでは軸力を直接測るため、ネジの締め具合を正確に把握できるメリットもある。

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