日産自動車は、ガソリン燃料を改質して水素に変える直列4気筒エンジンを試作した。水素を気筒に入れることで燃焼を速くして、熱効率を高められる。改質用触媒のコストは低く、日産が最近熱心な発電専用エンジンにも使いやすい。熱効率の大幅向上を目指す同社の「切り札」になり得て、2025年までの実用化が見込まれる。

 日産は、1気筒の実験機を使った成果を2015年に発表していた。同社の主力機と同じ直列4気筒にしたことで、量産化に一歩近づいた。

 日産の燃料改質エンジンは、EGR(排ガス再循環)配管中に改質用触媒と改質用の燃料噴射装置を設置し、燃料と排ガスを触媒に通して水素に変えるもの。吸入空気に水素を混ぜると、燃焼を速くできる。

 EGR量を増やして燃費性能を高めると燃焼しにくくなるが、それを抑えられる。さらに排熱回収効果と相まって、エンジンの熱効率を大きく高められる。

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日産の燃料改質ガソリンエンジンの構成
ガソリン燃料と排ガスを改質用触媒で反応させて水素をつくり、その水素を吸気側に入れて燃焼速度を高める。EGR路の途中に触媒と燃料噴射装置を設置する。日産の資料を基に日経 xTECHが作成した。

 改質用触媒はガソリン機で一般的な排ガス後処理装置である三元触媒に近い成分で、コストを安くできる。主にロジウム(Rh)で構成し、三元触媒から白金(Pt)とパラジウム(Pd)をほとんど除いたものとみられる。製法も三元触媒に似るようだ。貴金属の価格次第だが、排気量1~2Lのエンジンの場合、触媒と燃料噴射装置を合わせたコストは数千円に抑えられる可能性がある。

 日産は、改質器を搭載した直列4気筒の試作機で、燃費性能を3.6%と大きく高めた。自動車各社は、燃費性能を0.1%高める技術を地道に積み重ねている。一気に3%以上高められて数千円の追加コストで済むならば、「費用対効果」に優れた技術だ。

 水素は着火しやすい上に、燃焼速度が速い。水素の最小着火エネルギーは、0.02mJ程度と極めて小さい。燃焼速度は、ガソリン燃料を使う場合に比べて4~5倍に高められるとされる。

 水蒸気と炭化水素が改質器で反応するとき、排ガスの熱を奪う。つまり燃料改質技術は、排熱回収技術である。排熱エネルギーを使って改質し、ガソリン燃料のエネルギーを増やす仕組みと言えるわけだ。理論上は排熱回収でエネルギー量(発熱量)を約25%増やせる。

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