政府が2020年9月をめどに始める、マイナンバーカードを活用した新たな消費活性化策「マイナポイント」の概要が明らかになってきた。

 マイナポイントは、マイナンバーカードの取得者を対象にキャッシュレス決済額の一定割合を政府の助成でポイントや残高として付与する制度だ。自民党の経済成長戦略本部が2019年11月14日に具体的な政策内容を提言したことを受けて、政府は決済金額に対する還元率を25%、1人当たりの還元上限を5000円とする案で最終調整に入ったもようだ。

マイキーIDの設定からポイント還元を受けるまでの手続きの流れ。キャッシュレス決済は前払い式のほか、後払い式にも対応する予定だ
(出所:総務省)
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 予算はシステム開発費を含めて2000億円を超える見通し。2500億円に達するとの見方も出ている。規模としては、2019年度予算において消費者還元分だけで約1600億円を確保した経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業に匹敵するか、これを上回る可能性がある。

 政府がこれほど巨額の予算確保に動くのは、増税後の消費落ち込みに警戒を強めているほかにも大きな理由がある。マイナポイントを消費活性化とキャッシュレス決済の促進に加えて、普及率が2019年8月末時点で約14%、発行枚数が1772万枚にとどまるマイナンバーカードを一気に広げる起爆剤と考えているのだ。

 政府はマイナポイント制度の終了予定である2021年3月末時点でマイナンバーの発行枚数が6000万~7000万枚まで急増すると想定する。現時点で還元規模の試算を公表していないが、仮にカード取得者のうち4000万人が1人5000円の還元を受けたとすると、消費者還元分だけで2000億円を拠出する計算だ。政策を担当する総務省は、2019年12月中に固める2019年度補正予算と2020年度通常予算で必要な額を確定させる。

 だが、一石二鳥どころか「三鳥」を狙う政策には危うさもはらむ。石を投げ損じれば、一鳥も得られずに終わる可能性がある。国民の強い関心を呼び込めなければ、カードの普及どころか消費の活性化も不発に終わる危険な賭けだ。

ICカードリーダーを用意できるか

 マイナポイントが抱える最大の課題は、マイナンバーカード取得から還元を受けるまでの煩雑な手続きをどう簡便にできるかだ。

 マイナンバーカードの取得は現状、事前に申し込みを済ませたうえで市区町村役場などにカードを受け取りに行く手続きが一般的だ。マイナポイントの還元を受けるには、さらに「マイキーID」と呼ぶIDを取得・設定し、マイナポイント制度に参加する民間のキャッシュレス決済サービスとマイキーIDを連携させる必要がある。

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