イオンモールがリアル店舗のデジタル武装に力を注いでいる。2019年11月11日、自社で運営する商業施設の今後のデジタル戦略を発表した。具体的にはリアル店舗にデジタルの要素を取り入れ、買い物のストレスを軽減したり利便性を高めたりする「スマートモール」への変革を推し進める戦略だ。

 全国に先駆け、スマートモールのモデル店であり1号店となった千葉市の「イオンモール幕張新都心」を取材した。同店は2019年12月26日まで実証実験中という位置付けだ。

デジタル技術をフル活用するイオンモール幕張新都心
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高齢者向けの小型モビリティーやシースルーのデジタル看板

 「スマートフォンの浸透などもあり、消費者の購買行動は多様化している。店舗そのものや店舗運営に積極的にデジタル技術を取り入れることで、お客さまに限られた時間内で広いモール内を効率よく買い物してもらえるようにする狙いがある。モールの情報発信力も高めていく」。イオンモールの伴井明子取締役営業本部デジタル推進統括部長はスマートモール化構想の意義をこう語る。

 EC(電子商取引)が普及し、ネットで何でもモノが買える時代となった。わざわざリアル店舗に足を運んでもらうには、店の「魅力」を高めることが小売店には求められている。その手段としてデジタル技術を使うわけだ。イオンモールは幕張新都心での実証実験の結果を踏まえ、2020年以降に他のモールにもデジタル活用を横展開していく計画だ。

 実証実験では様々なデジタル施策に取り組んでいる。例えば大がかりで目を引くのは、広いモール内を自由に移動できるようにハンドルで操作する高齢者向けの電動カート「ショッピングモビリティ」や、片面がシースルーになる特殊なデジタルサイネージだ。

高齢者向けの「ショッピングモビリティ」。60歳以上の客であれば2時間200円で利用できる。
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片面がシースルーになる特別なサイネージ。ガラスの手前側から見ると透けているが、外側には映像が映し出される
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 AI(人工知能)を使って日本語と英語、中国語、韓国語の4言語で館内を案内する「小型AIインフォメーション」も設置した。店舗では事務作業を軽減してペーパーレス化を促す業務用タブレットを導入し、有人のインフォメーションには10カ国語に対応する通訳サービスを提供するタブレットを配備した。

広大なイオンモールを「横断検索」

 スマートモールに向けたデジタル施策は多岐にわたるが、最も注目すべきは商品検索システム「お買い物ナビ」だ。イオンモールが日立製作所とタッグを組んで独自開発し、4台設置した。モール型のECサイトでネットショッピングするかのように、商品のカテゴリーや色柄、価格帯などを選んで検索すると、イオンモール幕張新都心に出店する企業の該当商品を一覧で表示する仕組みだ。

イオンモール幕張新都心では「お買い物ナビ」(右)を4台設置した
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 従来は欲しい商品があると勘を頼りに扱っていそうな店を広いモール内を歩き回って探すしかなかった。イオンモール幕張新都心の商業施設面積は東京ドーム3個弱に相当する12万8000平方メートルで、そこに約360店が出店する。勘だけを頼りにして探すのは骨が折れる。こうした課題に対し、「ネットのECモールのように、ブランド横断での商品検索をリアル店舗でも実現した」(伴井取締役)。

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