フォルクスワーゲンやBMW、ヒュンダイ、ボッシュにコンチネンタル、デンソーまで――。自動車業界の名だたる企業が今、ある無線技術に強い関心を寄せている。それが、UWB(Ultra Wide Band、超広帯域無線通信)だ。

 例えばドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)は2019年11月に発売する電気自動車(EV)「ID.3」や同年12月に発売する第8世代となる新型「Golf」にUWBを採用したという(関連記事1関連記事2)。これを契機に、欧州向けの中心に、さまざまな車種にUWBを搭載するもようだ。独BMWは、「メガサプライヤー」の独コンチネンタル(Continental Automotive)、車載半導体大手のオランダNXP Semiconductorsと共に、UWBに関する標準化活動に乗り出している。韓国の現代自動車(Hyundai Motor)や独ボッシュ(Robert Bosch)、デンソーなども、UWBの業界団体に参画し、普及促進に力を入れる。

VWのEV「ID.3」(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした大手自動車メーカーや大手車載部品メーカーの動きに呼応し、半導体メーカーも新製品開発に舵(かじ)を切った。NXPは、「数年前から力を入れて開発してきた」(同社 CTOのLars Reger氏)という、車載向けUWB用通信IC「NCJ29D5」を製品化したと2019年11月に発表した(発表資料)。大量生産を想定した第2世代品である。第1世代品に比べて測位性能を向上させたり、待機電力を削減したりした。長らくUWB製品を販売してきたアイルランドの半導体メーカーDecawaveも、2014年発売の現行製品からおよそ4年ぶりの2018年から、対応する周波数範囲を拡大したり、消費電力を削減したりした新製品の提供を始めている。

UWBの車載キラーアプリとは

 UWBは産声を上げた2000年代前半、高速通信が可能、あるいは高精度な屋内測位が可能といった特徴から「無線の革命児」と呼ばれ注目を集めた無線技術である(関連コラム)。当時はもっぱら1Gビット/秒の高速通信を実現する潜在力を秘めた技術として注目されたものの、無線LANの高速化やキラーアプリケーションの不在などによって、普及には至らなかった。

 そんなUWBに自動車業界が関心を寄せるのは、ユーザーの利便性を向上させて自動車の「商品力」を高める手段になり得るからである。高精度な測位・測距に向くセンシング技術として、注目している。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら