医療現場における深層学習(ディープラーニング)の活用がついに解禁となった――。東京大学の研究室から生まれたAI(人工知能)ベンチャーのエルピクセルは2019年10月15日、深層学習を使った医用画像解析ソフトウェア「EIRL aneurysm(エイル アニュリズム)」を発売した。

 脳MRIの画像から「脳動脈瘤(りゅう)」と呼ばれる血管のこぶとなっている疑いがある部分を自動で検出して医師の診断を支援する。医療機器の承認審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)によれば、深層学習を使ったプログラム医療機器としては国内初の承認事例という。

「EIRL aneurysm」で脳MRI画像を解析した例、検出部位には円形マークが重なる。横の数字は事前に学習させた脳動脈瘤の疾患部位が含まれている画像との類似度を示している(類似度が高い順に1、2、3...と続く、最大で5個まで検出する)
(出所:エルピクセル)
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 脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血を引き起こす。医師は脳のMRI画像を見て、動脈瘤の可能性がある部分を目視で探す「読影」と呼ばれる診断を行う。脳をスライスしたMRI画像は患者1人当たり200枚前後に及ぶ。医師は時に頭の中で各画像を組み合わせながら立体的な構造をイメージして、動脈瘤などの異常の発見につなげるという。

 「動脈瘤か否かの判断は専門医であっても意見が分かれたり、大きさなどによっては見逃したりすることもある」。エルピクセルの島原佑基社長はこう話す。

 「EIRL aneurysm」に脳MRIの画像を読み込ませると、事前に脳動脈瘤の疾患部位が含まれている画像を学習したAIが大きさ2ミリメートル以上の動脈瘤を自動で検出する。実際の医療現場では最終的な診断結果は医師が決めるが、「EIRL aneurysm」をサポートに使うことで大量の画像を読影する際の負荷を下げたり、バイアスによる見逃しを防いだりといった効果が見込める。

医師の診断精度を10ポイント近く向上

 申請時の性能検証ではその威力を証明した。疾患のある患者のうち正しく陽性と判断できた人の割合を示す「感度」において、医師単独の読影結果は平均68.2%だったが、「EIRL aneurysm」の支援を受けた場合は同77.2%と10ポイント近く向上した。脳動脈瘤と診断された50症例とそうでない150症例の脳MRI画像を20人の医師が読影。あらかじめ撮影した評価用の画像を使った「後ろ向き性能評価試験」の結果である。

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