米グーグルのAI(人工知能)チップ「Edge TPU」を搭載するボード型コンピューターを、台湾の大手コンピューターメーカーである華碩電脳(エイスース、ASUS)が製品化する。製品名は「Tinker Edge T」で、ディープラーニング(深層学習)の推論処理ができる。グーグルはなぜエイスースと組んだのか。両社の担当者に聞いた。

左からエイスースのレスリー・ユウ シニアディレクター、グーグルのアジェイ・K・ナイア プロダクトリード
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 ボード型コンピューターはSBC(シングル・ボード・コンピューター)とも呼ばれ、CPUやメモリーなどを搭載しボード単体でコンピューターとして機能する。エイスースはSBCを「Tinker Board(ティンカーボード)」との名称でシリーズ展開しており、今回Edge TPU搭載モデルを追加した。2019年11月第4週から量産を開始するとみられる。

「Tinker Edge T」
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 Tinker Edge TはSoC(System on a chip)の「NXP i.MX 8M」とEdge TPUを搭載する。NXP i.MX 8MのCPUはクアッドコアの「ARM Cortex-A53(1.5GHz動作)」でGPUは「GC7000 Lite」である。このほか1Gバイトのメモリーや8Gバイトのフラッシュメモリー(eMMC)を搭載する。OSとして軽量版Linuxである「Mendel Linux」が利用できる。

機械学習の推論をエッジデバイスで処理

 Edge TPUはグーグルが独自開発したエッジデバイス向けのAI専用チップで、大きさは米国の1セント硬貨に収まるほど小さい。電力消費量は2Wで、毎秒4テラ回(4TOPS)の機械学習の推論処理が可能だ。グーグルがオープンソースとして公開するディープラーニングフレームワークの軽量版「TensorFlow Lite(テンサーフローライト)」が利用できる。

 グーグルのアジェイ・K・ナイア(Ajay K Nair)エッジML担当プロダクトリードはエッジ処理の利点として、プライバシーの保護やレイテンシー(遅延)の抑制、増加するデータ容量への対応、オフラインでの利用、コストの抑制などを挙げる。

グーグルのアジェイ・K・ナイア プロダクトリード
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 Edge TPU応用例として水道メーターのIoT(Internet of Things)化がある。ナイア プロダクトリードによればある企業はカメラを使ってメーターの表示を、磁気センサーを使ってメーター内のタービンの回転を、音響センサーによって水道パイプ内を流れる水の音のデータを収集することで、水の使用量を推測している。これによってパイプ故障の予兆なども監視できるのだという。

 水道メーターのセンサーから得たデータをクラウドに送信してリアルタイムで各種の処理を実行すると、膨大な通信やコンピューティングパワーが必要となる。そこでEdge TPUを使ってエッジ側でセンサーデータなどを処理することで、通信コストなどを抑制できるとする

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