国が2018年から取り組んできた、巨大IT企業への規制が動き出す。まず着手するのは、「取引条件を一方的に変えられた」など関係者から特に不満が強く出ていた、電子商取引(EC)モールとスマートフォンのアプリ配信ストアという2つの分野だ。

 政府は2019年11月12日、未来投資会議(議長:安倍晋三首相)を開き、巨大IT企業に対する規制を議論した。これに先立って同日にデジタル市場競争会議(議長:菅義偉官房長官)を開き、2020年1月に招集される見通しの次期通常国会に、巨大IT企業に関わる取引慣行を監視・是正するための「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案(仮称、以下新法)」を提出する方針を固めた。

デジタル市場競争会議と同じ2019年11月12日に開かれた、未来投資会議(議長:安倍晋三首相)の模様。同じく巨大IT企業に対する規制が議論された。
出所:首相官邸
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 巨大IT企業の規制では、ECやネット広告、検索など各分野で世界を席巻する米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)だけでなく、日本の楽天やヤフーなどを想定して議論が進んできた。

 新法で実質的に商慣行の監視対象となりそう企業は、まず国内EC市場で特に規模が大きい米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)、楽天、ヤフーの3社である。加えて、スマホOS市場を2分してアプリストアをほぼ寡占する米アップル(Apple)と米グーグル(Google)の2社も対象となりそうだ。

 ただし過剰規制への警戒もあり、政府は慎重に規制を導入する構えを見せている。監視対象となりそうな企業で問題視されたり疑念が持たれたりしている、これまでの「取引慣行」が本当に変わるのか、実効性は不透明だ。具体的には「商品やアプリの検索などで自社や関連会社の取扱商品やアプリを優遇する」「アプリストアで外部の決済手段を制限する」などの行為だ。

商品検索の順位や取引条件で開示義務

 新法は、シェアが高い大規模なECモールの運営者に対して、商品を出品・納入する店子(たなこ)である取引先企業の要望に応じて、取引条件や検索順位などを開示するよう求める方針だ。開示義務を課すのは、商品検索で表示順位を決める仕組みや、ある取引先に対する取引条件が他の取引先とどう違うのか、などである。

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