「安全」の領域で絶対の自信を見せるスウェーデン・ボルボ(Volvo Cars)が、自動運転に対する姿勢を大転換させた。自動車メーカーによる自動運転技術の“レベル上げ”競争と決別した。

 各社は、米自動車技術会(SAE)が定める自動運転レベルに沿って開発を進めている(図1)。実用化が進んでいるのは、運転支援機能に該当する「レベル2」で、運転者が事故の責任を負う。事故の責任が自動車メーカーに移る「レベル3」の自動運転は、今のところ実現できずにいる。

図1 米自動車技術会(SAE)の自動運転レベル定義
自動車メーカーが実用化できているのは「レベル2」まで。「レベル3」は、緊急時には運転者が操作へ介入しなくてはならず、その際の事故責任は運転者にある。SAEの資料を基に日経 xTECHが作成。
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Volvoが打ち出した新方針

 「もうレベルの話はしない」――。Volvoのセーフティ・センターでディレクターを務めるSenior Technical Advisor Safetyのヤン・イヴァーソン(Jan Ivarsson)氏は打ち明ける(図2)。自動運転レベルという視点での開発や利用者への訴求をやめたという。

図2 取材に応じたVolvoのJan Ivarsson氏
同社のセーフティ・センターでディレクターを務める。(撮影:日経Automotive)
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 同社は2017年に「レベル3をスキップする」(同社社長兼CEO(最高経営責任者)のホーカン・サミュエルソン(Hakan Samuelsson)氏)と宣言。レベル3を飛ばし、レベル4の自動運転機能を2021年に実用化する計画で開発を進めてきた。

 Ivarsson氏は2018年11月に日経Automotiveの取材で、「レベル3は運転者とクルマのやり取りが必要で、リスクを伴う。レベル4を目指していく」と説明していた。

 最近になってVolvoが自動運転に対する開発姿勢を転換させたのは、レベルという考え方に“違和感”を覚えたからだ。「そもそもレベルの区分けは技術的な目線で定義されたもの」(Ivarsson氏)で、レベルによる自動運転機能の違いを、クルマを利用する人が正しく理解するのは困難だという結論に至ったという。

 Volvoが「利用者の視点から再定義」(同氏)した自動運転は、運転の仕方を3通りに分けるというシンプルなもの。(1)完全自動運転か、(2)運転支援、(3)完全自動運転と運転支援を切り替えている状態――である。

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