現実世界と仮想世界を融合する技術として注目を集めるAR(拡張現実)。ゲームや業務用途が中心だったARが、より身近に広がるのではないかと予感させる製品が登場する。まるでサングラスのような見た目のスマートグラス「NrealLight」だ。中国のスマートグラス開発スタートアップNreal(エンリアル)が、2020年に一般消費者向けに発売する。

KDDIオリジナルデザインの「NrealLight」、2019年11月にオープンした渋谷の直営店には体験コーナーも設けている
(出所:KDDI)
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 日本ではKDDIが2019年5月に同社と提携し、サービス開発や国内の事業展開を進めると発表した。同年9月には博報堂DYホールディングスがARベンチャーのMESONと進める共同研究において、NrealLightを活用したARコミュニケーションサービスの開発や実証実験を始めた。

 「安価で高性能、さらにスタイリッシュさを兼ね備えている」。MESONの小林佑樹取締役COO(最高執行責任者)は各社が注目するNrealLightの特徴をこう話す。

 サングラスのような見た目で、重さも88グラムと軽い。価格は499米ドルを予定する(日本価格は未定)。自己の位置推定と周辺地図の作成を同時に行う「SLAM」機能や、装着者の頭の回転に加えて移動も検知する6軸自由度のセンサー「6DoF」などを備えており、現実に重ね合わせた映像を前後、左右、上下からのぞき込むこともできる。

「NrealLight」を使ったデモ画面、現実空間で仮想のペットを飼ったり、インテリアの配置を試したりといったことができる
(出所:KDDI、エンリアル)
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 従来、AR向けの装着型デバイスは比較的大型のヘッドマウントディスプレー(HMD)が主流だった。2019年4月にNTTドコモから2億8000万ドルの出資を受けた米Magicleapの「Magic Leap One」や同年11月に新型機を発表した米マイクロソフトの「HoloLens」が代表例だ。

 NrealLightは画像処理などをUSB(Type-C)でつないだ専用ユニットかスマートフォンに担わせて、グラス本体を小さく軽くした。利用できるスマホはOSにAndroid、プロセッサーに米クアルコムの「Snapdragon 855」を搭載し動作確認が取れた機種である。

PoCで感じた「手応え」

 Snapdragon 855は5G(第5世代移動通信システム)に対応する。KDDIなどがARに取り組むのも5Gの到来を見越してのことだ。スマートグラスをイヤホンのように周辺機器として販売するのに加え、データ容量が比較的大きいARコンテンツは「(データ通信量の)無制限プランとの相性もいい」(KDDIの上月勝博パーソナル事業本部サービス本部プロダクト開発1部副部長)とみる。

 KDDIは2018年ごろからスマートグラスを使ったARコンテンツに関するPoC(概念実証)を繰り返してきた。例えば人気アニメと連動した企画をテレビ朝日と共同で実施。5000人以上が参加したという。その中で感じた手応えの1つが女性客をはじめとする利用者の反応だった。

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