日本市場向けエンジン「X」の量産が無事スタート──。圧縮比を16.3まで高め、圧縮着火により希薄燃焼(リーンバーン)を実現する新型ガソリンエンジン「スカイアクティブX(SKYACTIV-X)2.0(以下、X)」。レギュラーガソリンと高オクタン価ガソリン(ハイオク)の両燃料に対応する日本市場向けXの組み立てラインを、マツダが2019年11月13日にメディアに初めて披露した。

 日本市場向けXを搭載するのは、同年12月中旬に発売予定のコンパクトカー「MAZDA3」と、2020年1月に発売予定のSUV(多目的スポーツ車)「MAZDA CX-30」。前者をこの(2019年)11月末から造り始めるのに合わせ、マツダは本社工場(広島地区)の一画にあるエンジン工場で日本市場向けXの量産を開始した。このエンジンは発売直前になってハイオク対応を追加したことで、MAZDA3のX搭載車の発売が延びた経緯がある。

[画像のクリックで拡大表示]
組み立てられる日本市場向けエンジン「SKYACTIV-X」
マツダの本社工場にあるエンジン工場で量産を開始した。現行のガソリンエンジン(2機種)と合わせて3機種のエンジンを1本の組み立てラインで混流生産している。右側に見えるのはG。(写真:日経 xTECH)

 このエンジン工場は、2014年に現行のガソリンエンジン「SKYACTIV-G」の生産を開始。その組み立てラインを改造することで、Xの生産にも対応させた。他に少量だが、SKYACTIVの開発以前のガソリンエンジン「L型(以下、L)」も造っている。エンジン工場は「EKライン」「ELライン」「ERライン」の3つのエンジン組み立てラインを持つ。このうち、Xを造るのはELライン。ただし、このラインはXだけではなく、GとLと合わせて3機種を混流生産することで生産効率を高めている。

16.3の高圧縮比を造り込む

 Xの特徴は、SPCCI (火花点火制御圧縮着火)燃焼を行うこと。この機能を形にするために、エンジン工場では、まず16.3の圧縮比を精度良く造り込む必要がある。加えて、広範囲で安定したSPCCI燃焼を実現するために、空気過剰率を高める過給機「高応答エアサプライ」の機能を保証しなければならない。

[画像のクリックで拡大表示]
過給機「高応答エアサプライ」
Xの希薄燃焼を実現する重要部品。(写真:日経 xTECH)

 圧縮比を造り込む点では、シリンダー内のピストンが上がり切った高さ(トッピング)を確認している。トッピングの許容公差(ばらつき)は、SKYACTIV以前の初代「アテンザ」のエンジンを基準にするとGでは39%、Xでは54%も厳しくなっている。そこで、Xでは計測器(トッピングテスター)を導入し、4気筒全てのピストンのトッピングを全数測定し、品質を保証している。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら