「海外勢に先んじて、我々がイニシアチブを取る」――。そんな決意を胸に、日本の自動車業界が動き出した。日本の業界団体「JASPAR」内で取りまとめた、車載Ethernetの次世代仕様に対する要求事項を、標準化作業を行うIEEEの場で提案しようとしている。その進捗状況について、JASPARの担当者が車載Ethernetの年次イベント「2019(9th)IEEE-SA Ethernet&IP@Automotive Technology Day(以下、E&IP@ATD)」(2019年9月24~25日、米デトロイト)で発表した。

 JASPARは車載電子制御システムのソフトウエアや通信ネットワーク技術の標準化などを目指す業界団体。テーマに応じていくつかのワーキンググループ(WG)がある。車載Ethernetについて議論をするのが、トヨタ自動車の後藤英樹氏が主査を務める「次世代高速LANワーキンググループ(WG)」だ。E&IP@ATDの講演には、同WGのメンバーである河渕量平氏(マツダ)と野村拓望氏(本田技術研究所)が登壇し、検討されたユースケースやその内容を発表した。

講演するJASPARの河渕氏(撮影:日経 xTECH)
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講演するJASPARの野村氏(撮影:日経 xTECH)
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 車載Ethernetは、新世代の車載ネットワーク、すなわち自動運転・コネクテッド時代の「神経網」として、既に採用が始まっている(関連記事)。例えば日本メーカーでは、日産自動車が「スカイライン」に採用している(関連記事)。現在は主に、「1対1」の接続、あるいは「1対多」の接続という比較的シンプルな構成に利用されてきた。今後は、「多対多」という「ネットワークに用いる流れにある。そんな中、数ある車載Ethernetの規格群の中で、どれを選択してどのように利用するのかが、自動車業界の関心事になっている。具体的には、「Ethernet TSN」(IEEE 802.1 Time-Sensitive Networking)と呼ばれる規格群の中で、複数の規格のうち、どのようなユースケースを想定して、どれを選択して使うのか、という点である(関連記事)。

 TSNの前身に、「Ethernet AVB」(IEEE802.1 Audio/Video Bridging)がある。AVBも車載ネットワークに必要な時刻同期や遅延の規定などが存在するものの、元はオーディオビジュアル系のネットワークプロトコルなので、車載ネットワークとして利用するには十分ではなかった。そこで、車載を想定して策定が始まったのがTSNという規格群だった。

 ただし、TSNは車載Ethernetだけでなく、産業用Ethernetでの使用を想定している。そのため、「産業用途とは別の車載向けのプロファイルが必要」(複数の自動車関係者)となる。

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