2020年の東京五輪・パラリンピックで訪日外国人観光客の急増が見込まれる中、航空会社や空港運営会社がデジタルトランスフォーメーション(DX)による受け入れ態勢の強化を急いでいる。2019年10月28日には日本航空(JAL)が成田国際空港(NAA)と共同で国際線チェックインエリアを刷新した。

 係員による対応から自動チェックイン機、手荷物自動預入機による対応へと切り替えることで、五輪前後に想定される1日5000人規模のチェックインに対応できる態勢を整える。ただ、現時点ではオペレーションにボトルネックが複数残っており、五輪までにどこまで改良を進められるかが鍵となりそうだ。

手荷物のセルフ機導入、来春には「顔パス」開始

 成田空港第2ターミナルでJALが使用しているチェックインエリアの一部を改装し、自動チェックイン機を25台、手荷物自動預入機を7台設置して2019年10月28日に運用を始めた。2020年4月には自動チェックイン機を35台、手荷物自動預入機を14台へとそれぞれ増やす。

 NAAは第1、第2ターミナルの双方で自動チェックイン機や手荷物自動預入機の導入を進め、2019年9月には全日本空輸(ANA)も手荷物自動預入機10台の運用を始めた。今後、海外航空会社が使うチェックインエリアなどにも順次導入し、五輪までに72台の手荷物自動預入機が稼働する見通しだ。

成田空港第2ターミナルでJALが使用しているエリアを改装。自動チェックイン機は25台を分散配置している。2020年4月には顔認証対応の自動チェックイン機へ入れ替えるとともに35台まで増やす
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 セルフ機はNAAが一括導入するため各航空会社で共通だが、ソフトウエアは航空会社ごとにカスタマイズしている。例えばANAは手荷物自動預入機でチェックイン手続きもできるのに対し、JALは自動チェックイン機と手荷物自動預入機に手続きを分けるなど、航空会社ごとにオペレーションが若干異なる。

 2020年春にはこれらの機器に顔認証機能を追加し、「OneID」というサービスを始める。OneIDは、自動チェックイン機で搭乗客の顔やパスポートを登録すれば、以降の手荷物自動預入機、保安検査場、搭乗口ではカメラによる搭乗客の顔確認で本人確認し、パスポートや搭乗券の提示を不要とするものだ。

 各カウンターではこれまで、係員が目視で搭乗客のパスポートや搭乗券を確認したり、パスポートの顔写真と搭乗客を照合したりしていた。搭乗客もその都度パスポートと搭乗券を取り出す必要があり、双方に手間が生じていた。OneIDが導入されれば「顔パス」で通過可能になるため、混雑緩和に大きく寄与しそうだ。

成田空港第2ターミナルへ新たに導入した手荷物自動預入機。航空会社向け予約システム大手のスペインのアマデウスITグループ(Amadeus IT Group)傘下である豪ICMエアポートテクニクス(ICM Airport Technics)製
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 これまでの有人カウンターは通常時で15~20分程度、最大で30分程度の待ち時間が発生していたという。それが「セルフ機による対応では3分の1程度まで短縮できている。チェックインカウンター前の待ち行列も短くなるなど効果が出ている。係員は行列が長くなるとプレッシャーになるが、待ち行列の短縮でそうしたプレッシャーも軽減されている」。JALで空港のサービスやオペレーションの刷新プロジェクトを率いる日野原希空港企画部旅客・制度企画グループ主任はこう胸を張る。

 日野原主任によると、導入初日の2019年10月28日に成田のJALチェックインカウンターで手続きした乗客は約3500人。「大型連休や東京五輪開催時などの繁忙期には1日に5000人の搭乗手続きに対応できるように設計した」(日野原主任)。

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