第一生命保険はITを使った業務効率化や新サービスの開発といったDX(デジタルトランスフォーメーション)を下支えするクラウド基盤「ホームクラウド」を構築し、2019年10月から本格運用を開始した。オンプレミス(自社所有)のシステムや外部のクラウドサービスなどを共通の基盤でつなぐことで、データのやり取りや各システムの運用管理をしやすくする狙いがある。

 ホームクラウドはデータやアプリケーションの連携だけでなく、テスト環境や実行環境としても活用する。米マイクロソフト(Microsoft)のクラウドサービス「Microsoft Azure」のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を使って構築した。2019年4月に開発を始め、約半年後の同年9月末に稼働させた。

「ホームクラウド」の概要
(出所:第一生命保険)
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 ホームクラウドの最大の目的は「適材適所でシステムをシームレスに使うこと」(第一生命保険の若山吉史ITビジネスプロセス企画ユニット長ITビジネスプロセス企画部長)だ。自社が保有する既存インフラの運用を効率化する「守りのIT(モード1)」と、国内外のIT企業やスタートアップが提供するクラウドサービスなどを使って新たな競争力を生み出す「攻めのIT(モード2)」の両システムが対象となる。

 適材適所とはどういうことか。例えば第一生命は米IBM製のメインフレームを採用している。同社は約1000万人の顧客を有しており、契約期間も終身保険であれば50年~60年と長い。「これだけの規模のデータを安全に管理するには、現状ではこのやり方が最も適している」(若山氏)。

 しかし第一生命としては積極的に新しい技術などを取り入れてDXを図りたいのが本音だ。これまでの生命保険事業では保険金や給付金を確実に支払うことが重視されてきたが、「これからは健康増進やQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上につながる付加価値を提供していくことが求められている」(若山氏)からだ。

 そこで同社が2017年3月に提供を始めたのがスマートフォンアプリの「健康第一」だ。利用者は健康診断の結果をアプリで読み込むことで食生活や運動に関するアドバイスが受けられたり、将来の健康リスクを推定してもらえたりする。契約者情報と連動したサービスも提供する。

 健康第一のサービス基盤にはAzureを採用した。同サービスはアプリを介して他社のシステムともつながっており、「連携が多いサービスはクラウドを使ったほうが使い勝手はよい」(第一生命の太田俊規ITビジネスプロセス企画部部長)ためだ。健康第一は同社のDXに関する取り組みの代表例となった。

 このようにDXの推進にはオンプレとクラウドを使い分け、その間で付加価値の源泉となるデータをスムーズにやり取りできることが重要になる。またオンプレのシステムをクラウドに移行することで運用を効率化できる可能性もある。その際、データ連携や各システムの運用管理の起点となる「本拠地」(若山氏)として、ホームクラウドが登場するわけだ。

「健康第一」のアプリ画面
(出所:第一生命保険)
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