韓国サムスン電子(Samsung Electronics)や中国・華為技術(ファーウェイ)などが相次いで実用化にこぎつけるなどして盛り上がりを見せる「折り畳みスマホ」。折り畳みディスプレーに欠かせないプラスチック基板を使った有機ELディスプレーなどに注目が集まっているが、ここでは「ヒンジ」に注目したい。

サムスン電子の「Galaxy Fold」
(撮影:スタジオキャスパー)
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 近年のデジタル家電といえば、ハードディスクからSSD(Solid State Drive)への移行、キーボードからタッチパネルへの移行など、基本的に可動部が減少する方向にあった。折り畳みスマホは従来のスマホに比べてヒンジという可動部が増える、いわば“逆向き”の製品である。ノートパソコンや以前の携帯電話機(ガラケー)では、ヒンジは重要な差異化項目の1つだった。今後折り畳みスマホが一般化すれば、再びヒンジが競争軸の1つになる可能性がある。ここでは、2019年9月に発売されたサムスン電子の「Galaxy Fold」のヒンジ部分を詳細に見ていく。

 Galaxy Foldは左右のパネル(いわゆるスマホのセンターパネルに相当)をヒンジで接続した形になっている。同製品ではチョウのイメージが使われているが、まさにチョウのハネのような仕組みだ。ヒンジは、本体の上部と中央部、下部の3カ所にある。

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ヒンジは3カ所にある
赤線で囲んだ部分がヒンジ(撮影:スタジオキャスパー)

長さの差を吸収

 これら3カ所のヒンジの基本構造は共通である。いずれも単純な1軸ではなく、左右のパネルと円弧状のレールでつながっており、ヒンジのピンがレールに沿ってスライドすることで開閉している。これは内側に配置されたディスプレーへの張力を生じさせないための工夫だ。厚みのある筐体(きょうたい)を折り曲げた構造を考えると、内側の面の長さよりも外側の面の長さの方が長くなる。つまりそのまま広げると、外側の面の長さが余るか、内側の面が引っ張られることになる。Galaxy Foldでは、開閉に伴って円弧状のレールをスライドさせることでこの長さの差を吸収している。

円弧状のレールをスライド
上部のヒンジを上側から見たところ。赤矢印の部分に円弧状のレールをスライドするピンが確認できる(撮影:日経 xTECH)
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 「世界初の折り畳みスマホ」をうたった中国Royoleの「FlexPai」では、曲げ伸ばしに際して画面に若干の「浮き」が生じる様子が見られる場合があった。FlexPaiとGalaxy Foldでは「山折り」「谷折り」の差はあるものの、曲げ伸ばしにより筐体の内側と外側で長さに差が生じる点は同じだ。FlexPaiの浮きは、こうした差を吸収する工夫が十分ではなかった可能性がある。

Royoleの「FlexPai」
「CES 2019」(2019年1月8~11日、米国ラスベガス)での展示(撮影:日経 xTECH)
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