宇宙と並んで「最後のフロンティア」ともいわれる「海中」。海中の情報をいかに可視化するか――。そんな課題に取り組むALAN(Aqua Local Area Network)コンソーシアムが、研究開発プロジェクトの進捗報告会を2019年10月8日に開いた。海底地形や水中の構造物などの3次元形状を高精細に計測する水中LiDAR(Light Detection and Ranging)や、計測データを地上に高速伝送する光無線通信などの技術開発や応用事例の訴求を通して、新ビジネスの創出を狙う。

 ALANコンソーシアムは、電子情報技術産業協会(JEITA)の新産業支援制度「共創プログラム」の第1弾に採択されたプロジェクトで、海を代表とする水中における光無線通信や光無線給電、水中LiDAR、調査用ロボットなどの研究開発を進めている。高速光デバイスを開発するトリマティス(千葉県市川市)を中心に、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、KDDI総合研究所、東北大学など23団体が参画している。

ALANコンソーシアムの代表でトリマティスCEOの島田雄史氏
(撮影:日経 xTECH)
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 研究開発成果の応用先は、海底地形調査や資源探査、水中構造物の検査、養殖モニタリング、沿岸施設の監視、アミューズメントなどを想定する。コンソーシアムで代表を務めるトリマティス最高経営責任者(CEO)の島田雄史氏は、「例えばインフラ検査の現場では、水中の橋脚を点検するダイバー不足が課題となっている」と指摘する。音波やカメラといった従来の水中計測技術では難しかった高精細な3次元計測が可能なLiDARを使うことで、これまで人手に頼ってきた水中作業をロボットに置き換えたり、大規模災害時の状況を可視化したりする分野に大きな可能性があるとみる。

 報告会では、2019年8月に実施した水中LiDARの実験の結果について説明した。実験では、LiDARを耐圧容器に収容してROV(Remotely Operated Vehicle、遠隔操作無人探査機)に搭載し、水槽の中で物体の3次元形状をスキャンして測距画像を取得した。開発したLiDARは青色LD(レーザーダイオード)を用いるラスタースキャン方式で、実験における測定距離は約1m、測定精度は約3cm。島田氏によれば、水中LiDARとROVを組み合わせた実験は「おそらく世界初」という。

トリマティスが開発した水中LiDAR
(撮影:日経 xTECH)
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