小売店や飲食店における人手不足対策として普及が進む「セルフレジ」。その導入に積極的なファーストリテイリングが、思わぬ事態に陥っている。傘下で「ユニクロ」ブランドを展開する子会社のユニクロが、セルフレジに関する特許侵害訴訟を起こされたのだ。

 ユニクロを訴えたのは、バーコードリーダーやスマートフォン用アプリなどを手掛けるアスタリスク(本社大阪市)だ。従業員数は88人(2018年8月末時点)と決して多くないが、取引先にはトヨタ自動車をはじめとする大手企業の名前がずらりと並ぶ。アスタリスクはかねて知財を重視しており、セルフレジに関してもシステム提供と特許ライセンス供与の“二刀流”で事業展開してきたという。「他社のセルフレジシステムでも、実は当社の特許を利用しているものがある」(アスタリスク代表取締役社長の鈴木規之氏)。

アスタリスクのセルフレジ。「第3回 店舗ITソリューション展 秋」(2019年10月23~25日、幕張メッセ)で展示していた(写真:日経 xTECH)
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 既に訴訟が始まったこともあり、両陣営は詳細を語らないが、これまでの大まかな経緯は以下の通りだ。現在、ユニクロは各店舗でセルフレジの設置を進めている。アスタリスクは、このセルフレジが同社の特許に抵触しているとして、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングにライセンス契約の締結を要求してきた。しかし、契約締結には至らなかったことから、アスタリスクは「これ以上の交渉による解決は困難」(同社)と判断。同社は、2019年9月24日にユニクロに対する特許権侵害行為の差し止め仮処分を東京地方裁判所に申し立てた。提訴よりも前の同年5月には、ファーストリテイリングがアスタリスクの特許に対する無効審判を請求しており、両陣営の争いは泥沼化の様相を呈している。

* ファーストリテイリングは「訴訟についてコメントできない」と回答した。アスタリスクも提訴後は訴訟に関するコメントを控えている。

 ユニクロのセルフレジは、ちょうど買い物籠が収まる大きさのくぼみがある。そこに商品または商品を入れた買い物籠を置くと、商品に付いたRFIDをシステムが自動で読み取り、会計に移行するという仕組みだ。

ユニクロのセルフレジ。くぼみに商品を置く(写真:日経 xTECH)
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くぼみに商品を置いた状態。買い物籠を置いてもよい(写真:日経 xTECH)
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RFIDが入っていることを示す商品タグ(写真:日経 xTECH)
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めくるとRFIDが見える(写真:日経 xTECH)
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 その特徴は、くぼみにふたや扉がなく、開放された空間になっていることである。つまり、客はふたや扉を開けたり閉めたりせずに商品または買い物籠を置くだけでよいので、会計にかかる手間や時間が少なくて済む。

 RFID読み取り式のセルフレジは、ふたや扉の付いているものが多い。電波を閉じ込めて、読み取り部の外にある商品(隣のセルフレジの商品や、客が直前で購入を思いとどまり手に持っている商品など)のRFIDを誤って読み取らないようにするためだ。実際、ファーストリテイリングでも、「GU(ジーユー)」ブランドの店舗では扉付きのセルフレジシステムを採用している。

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