「発行体と証券会社の工夫次第で面白いものが作れる」。日本STO協会で事務局を務めるSBI CapitalBase取締役の佐藤隼人氏は、STO(Security Token Offering)の将来性をこう語る。

 STOとは、主にブロックチェーン技術を活用した新しい資金調達手法の一つ。証券的な性質を持った「トークン」を発行し、投資家から資金を募る。証券化に関するコストを安価に抑えられる可能性がある。小口案件や従来は対象とみなされてこなかったプロジェクトなどを証券化し、投資の活性化や投資家の裾野拡大への期待がかかる。

 日本でSTOの離陸に向けた機運が高まってきた。2019年5月31日、改正金融商品取引法が成立。2020年4月にも施行される見通しだ。同法は、有価証券の性格を持つセキュリティートークンを「電子記録移転権利」と定義。原則、国債や株式といった「第一項有価証券」として扱い、業規制や開示規制を課す。

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 同年10月1日には、SBI証券が主導する業界団体、日本STO協会も発足。野村証券や大和証券など6社が名を連ね、自主規制団体として認定取得を目指す。

 今回の法改正はSTOを金商法の傘の下に位置づけたもの。「ICO(Initial Coin Offering)への規制強化という文脈。STOを正面から後押しするものではない」と、アンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士の河合健氏は説明する。しかし、「金商法の枠組みに入ったことで、証券化ビジネスなどのプレーヤーが扱いやすくなった。マーケットは前向きに反応している」(河合氏)。

投資家と資金調達者に選択肢

 STOは、投資家と資金調達をする事業者の双方に新しい選択肢を提供できる可能性がある。「STOの対象になるのは、従来の証券会社の論理ではコストが合わなかった小口のニッチ分野ではないか。魅力的な投資先が広がり、投資家層の裾野拡大につながるかもしれない」と、マネックス証券プロダクト部長の山田真一郎氏は見込む。

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