ドイツ・インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies)は2019年10月17日(現地時間)、米国マウンテンビューでプライベートイベント「OktoberTech 2019」を開催した。同社はパワー半導体の最大手であり、かつマイコンやセキュリティーチップ、センサーなど、多様な半導体製品を手掛けている。同イベントで特に力を入れてアピールしていたのが、主に民生機器やIoT(インターネット・オブ・シングズ)端末、ロボット、ドローンなどに向けた各種センサーだ。高精度なジェスチャー認識が可能なミリ波センサーやAI(人工知能)搭載の音波センサー(MEMSマイク)、マイク混載の圧力センサーなど、新製品から研究開発品まで特徴的なセンサーをずらりと紹介した。

インフィニオンは「OktoberTech 2019」でセンサー群をアピールした。スライドは同社
[画像のクリックで拡大表示]

 インフィニオンが、OktoberTechをシリコンバレーで開催するのは今回が3回目。半導体ユーザーとの協業を進めて、自社製品の応用先拡大を促進する狙いがある。大手企業だけでなく、スタートアップと呼ばれるような新興企業との協業にも力を入れている。シリコンバレーで開催するのは、各分野で数多くの新興企業が存在するからである。実際インフィニオンは、シリコンバレーにハブ拠点「Innovation Center」を構えて、スタートアップを含めた他社との協業に力を入れている。OktoberTechには同社最高経営責任者(CEO)のReinhard Ploss氏が登壇するなど、同イベントに対する力の入れ具合がうかがえた。顧客からの注目も高いようで、チケットは売り切れたという。

 インフィニオンが手掛けるセンサーの中でも、最初に紹介したのが、イベント開催2日前の10月15日に米グーグルがスマートフォン「Pixel 4/4XL」に採用した60GHz帯のミリ波センサーである(関連記事)。CEOのPloss氏は、Pixel 4を掲げて誇らしげにアピールした。同センサーの特徴は、指先の細かな動きまで検知できること。同社によれば、分解能は2.5cmだという。ただし、Pixel 4では当初、そこまで細かな動きを検知する用途には用いず、手全体を動かす大まかなジェスチャーの認識にとどめている。

Pixel 4を掲げるインフィニオンCEOのPloss氏(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 複数の機能に対応する多機能化を進めるのがMEMSマイク、すなわち音波センサーと圧力センサーである。MEMSマイクでは、2018年の製品に比べて2019年の製品では、性能を高めた上、防塵(ぼうじん)・防水対応にした。例えば、18年品のS/N比は69dBだったが、19年品のS/N比は72dBだという。防水・防塵の等級は IP57である。

MEMSマイクの2019年製品では、2018年に比べて性能を高めた上、防塵・防水対応にした。スライドはインフィニオン
[画像のクリックで拡大表示]

 さらにMEMSマイクを超音波センサーとして進化させる考えを明らかにした。通常のMEMSマイクをベースに、対応する周波数範囲を可聴域超にまで拡大する。その結果、1つの素子で、マイクと超音波のトランシーバー(送受信素子)の2役を担う。

 超音波を利用することで、簡単なジェスチャーや物体の有無の検知、温度や風速の計測、データ通信などが可能になる。複数個の超音波センサーによって、3次元計測も可能とする。実際、ドイツの新興企業Toposensと協業し、同社のソフトウエアとインフィニオンの超音波センサーで3D計測できることをアピールした。Toposensによれば、ロボット掃除機で物体を検知したり、スマートスピーカーで発話者の位置や移動などを検知したりする用途を想定する。

インフィニオンが示した、超音波センサーの用途。スライドは同社
[画像のクリックで拡大表示]

 研究施設では、AI機能を備えたマイクも開発中。スマートスピーカーなどでの利用を想定したもので、クラウドに接続することなく、現在64種類のキーワードを検知できるという。消費電力は常時700μWを下回るとする。従来のマイクと同じサイズのパッケージに、マイク1つとマイクを駆動するASIC、そして外部企業が開発した音声認識用のAIチップを搭載している。

開発中のAI機能搭載のマイク。現在、64種類のキーワードを認識できるという。スライドはインフィニオン
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら