「自動車メーカーと競合するつもりはない。むしろ協力したい」――。パナソニックが2019年10月17日に開始した無人自動運転のライドシェアサービスについて、パナソニックモビリティソリューション部部長の東島勝義氏はこのように述べた。自動運転に関する事業の足掛かりとして同社が狙いを定めたのは、私有地内での運用だ。大手自動車メーカーとの競合を避け、新事業の確立に力を注ぐ。

 同サービスは、パナソニックか提案する小型電気自動車(EV)を用いたモビリティーサービスの一例を具体化したものだ。大阪府門真市にある本社敷地内で働く約1万人の社員を対象に運用を始めた(図1)。小型EVが自動で走行するルートや乗降ポイント、運用時間などは設定されているが、その範囲内であれば社員が任意の時間で敷地内移動の手段として利用できる。20km/h程度の速度でゆっくりと構内を走行する。

 「我々は自動車メーカーではないので、公道を走らせるとなると難しい。特に日本の場合は道路や免許などの法律が厳しいので、まずはゆっくりとした速度で私有地内といった限られた範囲で走らせることを想定している」とモビリティソリューションズ担当参与の村瀬恭通氏は述べる。

 今後、社内での実サービスで蓄積したデータを足掛かりに、様々な企業や自治体などを対象としたライドシェアサービスを提供する方針だ。2021年には、企業や大学、ショッピングモール、娯楽施設といった私有地向けにサービスの実用化を目指す。

図1 無人の自動運転ライドシェアサービス
大阪府門真市にあるパナソニックの本社構内で、無人の自動運転ライドシェアサービスを開始した。現在は安全を確保するため、保安員が同乗している。(撮影:日経Automotive)
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 パナソニックは2018年に創業100周年を迎えたことをきっかけに、次の時代の生き残りを見据え、従来のビジネスモデルからの脱却を図ろうとしている。家電製品といったハードの販売から、サービスやソリューションを提供するモデルへと変貌を遂げようとしているのだ。その1つとして、人の生活圏における狭い範囲での移動に着目。ライドシェアサービスを新たな事業の柱として育てる。

 無人の自動運転は、LIDAR(レーザーレーダー)とカメラの組み合わせで実現。さらに、パナソニックが持つAI(人工知能)の技術を使ったディープラーニングで制御の精度を高めたほか、無線通信技術や管理システムなどを組み合わせてサービスを構築した。

 販売方式は、小型EVの車両の販売ではなく、自動運転ライドシェアサービスの運行システムを月当たり、もしくは1台当たりの利用料で提供するといった手法を模索中だ。海外での事業化の可能性もあるとした。

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