2019年10月15日、65歳以上の高齢者が人口の21%以上を占める「超高齢社会」の課題について議論する国際会議「Nikkei Super Active Ageing Society Conference」(主催:日本経済新聞社)が都内で開催された。“超高齢化”は多くの国にとって課題だが、日本は高齢者が2017年で全人口の27.7%を占めるフロントランナーだ。 超高齢社会の様々な社会課題を克服するため、この会議で多くの企業や自治体がデジタル技術を活用した取り組みを紹介した。

 「人工知能(AI)が人間の能力を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)が2045年以降に来るのではないかと言われる。今のままの延長線上にAIが進化すれば、こうした汎用AIに到達するだろうと見る向きもあるが、当社はそうは思っていない」。日本IBMで研究開発を担当する森本典繁執行役員はこう発言した。

広いAIの開発に積極投資

 IBM基礎研究所ではこう言っている。「汎用AIに向かってAIが進化するには必ずや途中段階がある。それを我々は“ブロード(広い)AI”と定義している。一方、現在の深層学習を中心としたAIを“ナロー(狭い)AI”と呼んでいる」(森本執行役員)。

「Nikkei Super Active Ageing Society Conference」に登壇した日本IBMの森本典繁執行役員
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 超高齢社会について言えば、認知症の早期発見のため人の目には知覚できない脳内の微妙な変化を識別する画像認識技術や、加齢により目が見えづらくなった人などのための音声ナビゲーションなどに使われるのがナローAIである。1つの領域について1つのタスクしかせず、高度な判断をできるようになるには膨大な教師データの学習を必要とする。

 「これをどんなに突き詰めても、1つの領域・1つのタスクからは抜け出せない。しかし実際の人間はもっと複雑で多面的だ。様々な種類の情報から総合的に判断するし、AIと比べれば非常に少ない量のデータから学習している。これからの時代は、正解のない問題に対して解答を出さなくてはいけない。それがブロードAIだ」と森本執行役員は言う。IBMは現在、ブロードAIの研究に対して積極的に投資している。

 同社はキャリーバッグに搭載されたAIがまるで盲導犬のように気を利かせて本人より少し前を進み、通行人をよけながら目的地まで実際に連れて行ってくれるという技術を開発中だ。AIを活用して個々人の行動や表情の変化から認知症の兆候を読み取る研究も進めている。行動や表情は個人差が大きく基準も統一されていないため、より個人の実情に合わせてパーソナライズした判断が重要になる。

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