自動運転のシミュレーション活用について講演する日産の吉澤隆氏
(撮影:日経Automotive)
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 日産自動車は自動運転技術の開発にシミュレーション技術をどのように活用したのか。その一端を同社電子技術・システム技術開発本部理事の吉澤隆氏が示した。2019年10月4日に開催されたイータス主催の「車載制御・組み込みシステム開発シンポジウム2019(ETASシンポジウム)」で基調講演した。

 同社の自動運転技術には、高速道路の単一車線での運転支援を実現する「プロパイロット」と、その改良版で複数車線に対応した「プロパイロット2.0」がある。これらの開発では、シミュレーションによる事前検証が欠かせなかったという。

シミュレーション技術を活用
(出所:日産)
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 シミュレーションでは、大量のデータを高速に処理できる演算プラットフォームの整備のほか、膨大な数のテストシナリオを準備する必要がある。このため、同社はカメラなどのセンサーを搭載した車両を実際に走行させ、得られたデータからテストシナリオを自動生成する技術を利用した。

テストシナリオを自動生成
右側が実走行時のビデオ映像。左側がそれを基に生成したテストシナリオ。(出所:日産)
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 一度作ったテストシナリオを修正し、異なる条件のテストシナリオを作ることもできる。例えば、右車線の車が前方に割り込んでくるシナリオを修正し、前方に割り込んできた車が割り込みを取りやめた後、再び割り込んできたというシナリオを作った事例を見せた。このようにシミュレーションに必要なデータを自動的に構築するとともに、そのデータを再利用して、さまざまなシナリオを派生させることで、開発コストを抑えられるという。

オリジナルから別のシナリオを生成
(出所:日産)
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 シミュレーションでは、「人間の感覚」をどう評価するかという点も重要になるという。自動運転では、運転者が「安心」を感じることが重要と考えているからだ。同社は厚木の開発センターにある「ドライビング・シミュレーター」を活用し、走行条件に応じて変わる運転者の感覚を定量化し、開発に活用している。

 もちろん、最後には走行試験を行う。「日本、米国、欧州、中国のほぼすべての高速道路を走っている」(同氏)という。例えば、中国は30万kmもの高速道路があり、複数の車両を使って定期的に走ることでカバーした。道路環境は国や地域によって大きく異なるため、走行時にデータを取得し、シミュレーションに反映させる作業を繰り返す。

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