インターネット接続事業者(ISP)のギガプライズは、集合住宅向けISPサービス「SPES(Single-Pair Ethernet Service、エスピーイーズ)」の販売を2020年1月に開始する。サービスはNECネッツエスアイと米ブロードコム(Broadcom)で共同開発した。電話線だけでイーサネット通信を実現する「シングルペア・イーサネット」と呼ぶ技術を使っており、ギガプライズによれば同技術を集合住宅向けに採用したサービスは世界初という。

 サービスの主な対象は1棟に8〜10戸がある小規模の中古アパート。風呂・トイレなしの狭小中古物件でもインターネットが使えるようになる。サービス提供の背景には、こうした中古アパートのインターネット化がほとんど進んでいないことがある。

 「我々が取引をしている大手建設会社では、個別にインターネットに加入することは許可していない。だからほとんど導入されていないと考えていいのではないか」(ギガプライズの梁瀬泰孝代表取締役社長)。ちなみに同社は、集合住宅全体でのインターネットの導入率を10%弱と見積もっている。

ギガプライズの梁瀬泰孝代表取締役社長
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 SPESでは、新たに配線工事をする必要がなく、既設の電話線だけでインターネット接続を可能にする。これを実現するのがシングルペア・イーサネットだ。通常のLANケーブルは1本のケーブル内に4対8心の心線が通っており、そのうち2対ないし4対を使って通信する。これに対しシングルペア・イーサネットでは、電話線のような1対2心のケーブルで通信できる。

 今回のサービスで使われるシングルペア・イーサネットは、ブロードコムが開発した「BroadR Reach(ブローダーリーチ)」と呼ぶ技術を採用している。もともとは車載イーサネット向けに開発された技術で、それをマンションインターネットに転用した。最大伝送速度は100Mビット/秒。IEEE(米電気電子学会)による通常のイーサネット規格では最大伝送距離が100mだが、BroadR Reachは独自の工夫で200mまで延長している。

BroadR Reachを説明したブロードコムのスライド
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 このサービスの開発は2年前から始めたという。「既存の集合住宅にインターネットを入れるにはものすごく手間がかかる。それを何とかしたいと思っていた。昔から取引があったNECネッツエスアイに相談する中で出てきたのが車載イーサネット。これを集合住宅に使ったら面白いのではないかと考えた」(梁瀬社長)。

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