「1台当たり3000~6000点」(東芝)――。クルマの車体では非常に多くの部位にスポット溶接が使われている。そうしたスポット溶接部の溶接品質の良否判定に利用される非破壊による非破壊検査を自動化し、さらに同検査時間を従来の約1/4に短縮する技術を開発したのが、東芝である(図1)。従来、1点当たり約30秒かかっていた同検査を、約7秒に短縮できるという。

図1 ロボットを用いたスポット溶接部の非破壊検査のデモの様子
図1 ロボットを用いたスポット溶接部の非破壊検査のデモの様子
ロボットの先端に取り付けた超音波プローブをスポット溶接部に押し付けて角度を自動調整しようとしているところ。独自開発のアルゴリズムを使ってプローブを適切な角度に自動調整し、人手による検査よりも高速化を図った。(撮影:日経 xTECH)
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 超音波による非破壊検査の技術は、超音波探傷と呼ばれる。超音波を、溶接部位から溶接対象となる複数の板(母材の板)の内部に向きやタイミングを変えながら送り、母材の板の表裏やナゲット(溶融凝固した溶接部)の輪郭部といった界面で反射してくる超音波の強度や向きから、ナゲットの大きさや形状を解析し、スポット溶接点の良否を判定する手法だ。

 反射波の強度は、超音波を発信・受信するプローブから見て厚み方向に浅いほど強くなることから、板の表裏での反射かナゲットの輪郭部での反射か判断できる。さまざまな向きに対してそれらのデータを集め、ナゲットの大きさや形状を3次元的に捉える。

 スポット溶接においてこうした非破壊検査に時間がかかるのは、ナゲットが母材の板の表裏に平行に形成されているとは限らず、スポット溶接点の良否判定で重要な項目となるナゲット径を正確につかむには、スポット溶接部に当てるプローブの傾きを微妙に調整することが必要になるためだ。従来は、熟練者がプローブの傾きを調整していたが、その調整に時間がかかっていた。

 東芝が開発したのは、そうしたプローブの傾きを自動で調整するためのアルゴリズムである。超音波の反射強度から人工知能(AI)の技術を使って実現した。詳細は明かさないが、ナゲットの傾きなどを反射波の強度画像から解析し、ナゲットの水平面に対して法線方向に向くようにプローブの傾きを自動で調整している。なお、このアルゴリズムでは学習ではないAI技術を使っているという。

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