三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は「金融機関向けのSlack」とも言うべきビジネスチャットを導入する。一般のビジネスチャットよりセキュリティーを強化しているのが特徴だ。

 MUFGは開発元に出資するほどのほれ込みようで、グループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)基盤として活用する方針だ。セキュリティーへの懸念からビジネスチャットの導入に及び腰だった日本の金融機関にも広がる可能性がある。

  MUFGが導入するのは米シンフォニー・コミュニケーション・サービス・ホールディングス(Symphony Communication Services Holdings)のビジネスチャットだ。シンフォニーの設立は2014年。米ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)や米シティグループ(Citigroup)など15の金融機関が共同出資で発足した。世界400社超の導入実績があるという。

 2020年3月までに三菱UFJ銀行などがPoC(概念実証)を始める。MUFGは2019年6月、投資子会社である三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)を通じてシンフォニーに出資した。出資額は非公表だが11億円程度とみられる。

音声や動画による会議、ファイル共有、メッセージによる自動応答プログラムのチャットボット開発など、ビジネスチャットの基本的な機能を一通り備える
(出所:米シンフォニー・コミュニケーション・サービス・ホールディングス)
[画像のクリックで拡大表示]

 シンフォニーが提供するビジネスチャットの特徴について、MUIPの鈴木伸武社長は「従来のビジネスチャットに比べて、より高いセキュリティー機能を備えている点」と話す。一般にビジネスチャットは利用者を制限してメッセージの誤送信を防ぐなど、消費者向けチャットアプリに比べて人為的なミスによる情報漏洩を防ぐ仕組みを多数備える。そんなビジネスチャットの中でも、シンフォニーは「厳格な規制を守らなければならない金融機関での利用に特化したビジネスチャット」(鈴木社長)という。

 根拠となる機能の一例が「エンドツーエンドのメッセージ暗号化」と呼ぶ機能である。メッセージの送信者と受信者の双方が「鍵」を持つことで、第三者の盗聴を困難にする技術だ。メッセージのデータはシンフォニーのクラウド上に保管するものの復号に使う鍵を顧客企業のオンプレミス環境に保管するため、「シンフォニーがメッセージの内容を閲覧できない」(同)仕組みだ。

 加えて、社内でも例えば「投資銀行部門と市場部門とのやり取りを防ぐ」といった「情報バリアー」の機能などを備える。あらかじめ決めたキーワードに基づいて不適切な投稿に警告を出したり、各国の金融当局の規制に準拠した監査用ログを出力したりする機能も搭載している。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら