勢いを増すデジタルディスラプション

 AI(人工知能)やロボット技術が急速に発展し、「デジタルディスラプション」(デジタル技術による破壊的イノベーション)の勢いに陰りが見えません。定型業務(標準の手続きに従って進められ、高度な意思決定を伴わないような仕事)が、ロボットや機械に置き換えられていくことは間違いありません。

 その結果、人が行う業務は非定型のプロジェクト業務が中心となり、プロジェクトマネジメントの重要性は、今後ますます高まっていくと考えられます。

複雑さを増すプロジェクト環境

 ただしプロジェクトマネジメントも、デジタルディスラプションの影響は避けられません。コグニティブ・コンピューティング、AI、機械学習などの日々発展する技術の採用が着々と進んでいます。技術の進歩によって、プロジェクトの当初の目標が活動中に陳腐化してしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

 NASA(米航空宇宙局)では、機密資料を扱うロボットが人間同様にIDやメールアドレスを付与され、必要な訓練を受けながらプロジェクトメンバーとして稼働しているそうです。プロジェクトメンバーに「デジタルレイバー」が加わる時代が、現実にすぐそこまで迫っています。

 さらに、デザイン思考や「DevOps」注1)といった新たな思想や取り組みが導入され、プロジェクトを取り巻く環境は日々変化し、複雑さを増しています(図1)。

図1 デジタルレイバーがプロジェクトメンバーに
(出所:iTiDコンサルティング)
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注1)開発(Development)担当者と運用(Operations)担当者が緊密に連携し、開発を迅速に進める仕組みのこと。

 このような環境に置かれているプロジェクトマネジャーに対して、米PMI(Project Management Institute)では、「PMTQ(プロジェクトマネジメントテクノロジー指数)」と呼ばれるプロジェクトのためにテクノロジーの進歩を応用、管理、統合する能力の強化を訴えています。変化を注視し、プロジェクトへの有用性を見極めながら、その変化をプロジェクトに大胆に取り入れていくことを求めているのです。

プロジェクトの成功要因とプロジェクトマネジャーの課題

 PMTQを強化することはもちろん重要ですが、これまでに筆者が支援したプロジェクトの現場を見る限り、他にも優先すべき重要な取り組みがあると感じざるを得ません。

 2018年と2019年のPMIの調査注2)で共通して挙げられているプロジェクトの成功要因は下記の2つです。筆者はこれらこそが直近に重視すべき取り組みであり、これらに取り組むことが結果的にデジタルディスラプションへの備えにもつながると考えています。

●エグゼクティブ・スポンサーの積極的関与
●プロジェクト・スコープの変化やクリープ注3)への的確な対応

注2)PULSE of the PROFESSION
注3)時間、コスト、リソースの調整がなく、成果物やスコープが管理されずに肥大化すること

 これらを言い換えれば、結果を出せないプロジェクトマネジャーは、(1)エグゼクティブ・スポンサーへの働きかけが弱い、(2)変化への対応が弱い──ということになります。つまり、この2点の克服がプロジェクトマネジャーの課題なのです。

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