自分の分身となるロボットを遠隔から操作し、本人があたかもその場所にいるかのように現地の人と会話したり仕事したりする――。こんな「テレプレゼンスロボット」がこの秋、話題を集めそうだ。

 火付け役はハウステンボスの子会社でロボット事業を手がけるhapi-robo st(ハピロボ)。世界初のロボットホテル「変なホテル」をプロデュースして話題を集めた同社は2019年10月17日、手軽さを売り物にするテレプレゼンスロボット「temi(テミ)」の販売を開始する。2019年8月9日に、temiの開発元である米temi USAと国内総代理店契約を締結した。

 ハピロボの社長でロボット技術に詳しい富田直美氏は「これまで世界中のテレプレゼンスロボットを数多く見てきたが、temiは本物。ロボットとしての完成度が高く、導入も操作も簡単だ。高齢化や人手不足といった様々な社会問題を解決する可能性を秘めている。すぐに気に入って、temi USAに代理店契約を申し出た」と熱く語る。

 temiのサイズは高さ100×幅35×奥行き45センチ。重さは12キロだ。下部にタイヤを備え、最大1メートル/秒で自律走行する。上部には10.1インチのタッチパネルディスプレーがあり、遠隔操作時は操作している人の顔を表示できる。ソフトバンクロボティクスのPepperのように人型ではなく、無機質なデザインだ。

hapi-robo stが販売を開始するテレプレゼンスロボット「temi」
(出所:hapi-robo st)
[画像のクリックで拡大表示]

 AndroidベースのOSで動作しており、「AI(人工知能)アシスタント」「ビデオ通話」「ニュース」といったアプリをプリインストールしている。アプリはタッチパネルから操作できるほか、音声でも起動できる。「ヘイ、temi」と呼びかけた後に「充電ドックに戻って」などと言えばその通りに動作する。さながら動くAIスピーカーのようだ。SDK(ソフトウエア開発キット)が公開されているので独自アプリの開発も可能だ。

 アプリも使えるが、temiが本領を発揮するのは遠隔操作である。専用のスマホアプリからtemiを動かせる。temiのカメラが映した映像をスマホで確認しながらtemiを操縦できる。マイクやスピーカーを搭載しているので現地の人と会話できる。

 会話するだけならばスマホのテレビ電話機能やテレビ会議システムを使えばよいが、遠隔操作しているユーザーが能動的に自宅やオフィスの好きな場所にtemiを動かせる点がそれらと大きく異なる。同一フロア内であればユーザーが自分の意思で動き回り、カメラの映し出す場所も範囲も変えられるわけだ。この使い方はスマホやテレビ会議では不可能である。

 想定用途は幅広い。業務用であれば店舗での接客やフロアの案内、施設の警備など。遠隔地にある倉庫にtemiを置けば、商品の在庫状況をオフィスから確認することもできるだろう。もちろん場所を選ばないテレビ会議システムとしても使える。家庭用でも、離れた場所で暮らしている家族とのコミュニケーションや見守りのために使える。

オフィスでの利用シーン
(出所:hapi-robo st)
[画像のクリックで拡大表示]
家庭での利用シーン
(出所:hapi-robo st)
[画像のクリックで拡大表示]

自動運転に使われるセンサーを搭載

 temiの最大の売り物は「完成度」と「手軽さ」だ。「機能だけを見ると、過去に似た製品があった。しかし、誰もが手軽に使えるレベルに達しているのはtemiだけ。この完成度に他の企業が到達するのは相当の時間を要するはずだ」と富田社長は自信を見せる。

 例えばtemiを初めて動かすときは「ヘイ、temi。ついてきて」と言えば、temiは近くにいる人を認識し、その人の後ろをつかず離れずに追いかける。人が足を速めれば同じように速度を上げ、止まれば一定の距離を保ってtemiも止まる。

 temiが動くと自動で周囲のマップを作成して記憶する。このため、1度訪れた場所をtemiに覚え込ませれば次回以降はその場所にtemiを簡単に移動させることができる。例えば「ここはキッチン」「ここはトイレ」などと声で指示するだけで、マップ上にその位置を記録できる。マップにない障害物が新たに置かれても、センサーで検知してよけながら動ける。

temiが自動で作成した周囲のマップ、マップ内の赤い点がtemiに記憶させた場所
[画像のクリックで拡大表示]

 これまで、ロボットを自動走行させるには周囲のマップデータを別途用意したり、覚え込ませるための時間を要したりしたが、その手間はないという。temiでは使いながら常に自動でマップが更新される。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら