NECは2020年までに、データサイエンティストを含むAI人材を1000人に増やす計画を立てている。日立製作所は2021年度までに、グループ全体でデータサイエンティストを3000人まで増やすという。ITベンダーとしてサービスを提供するため、またはものづくりの現場強化のため事業部門にデータサイエンティストを十分供給できるよう、大量育成に舵を切っている。

現場部門にデータサイエンティスト増加

 そのデータサイエンティストにどのようなスキルを求めるかは、両社が参加しているデータサイエンティスト協会の定義にほぼ準ずる(図1)。データを取得・分析する能力に加えて、データサイエンスの適用対象となるビジネスの理解や、現場の人とのコミュニケーション能力が必要とされる。協会はスキルのレベルを段階に分けており、「見習いレベル」のアシスタント・データサイエンティストでも育成には3カ月から1年、「独り立ちレベル」のアソシエート・データサイエンティストでは1~3年かかる。

図1 データサイエンティストに必要な能力とスキルのレベル
データを扱う2つの能力の他に、実業務に適用する上での知識やコミュニケーション能力(ビジネス力)が必要とされる(左)。データサイエンティストのスキルの段階は4段階で整理している(右)。(出所:データサイエンティスト協会、NEC)
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 IT業界を中心として、特に不足しているのは「棟梁レベル」のフル・データサイエンティストであるとの議論がある。しかし、このレベルの人材を「何百人も社外から採用するのは不可能」(NEC AI・アナリティクス事業部AI人材育成センター・センター長、NECアカデミー for AI学長の孝忠(こうちゅう)大輔氏)であり、基本的には内部で育成するしかない*1。いきなり棟梁レベルの上級者を育成するのも無理だから、まず取り組むべきはアシスタント・データサイエンティストやアソシエート・データサイエンティストを養成する教育である。

*1 孝忠氏はデータサイエンティスト協会でスキル委員も務める。

 上級者を増やすよりも、むしろアシスタントやアソシエートレベルのデータサイエンティストが、サービス提供やシステム構築、あるいは機器製造といったデータサイエンスを本業としない部署で活躍することこそ大事との見方もある。「実業務へのデータサイエンスの応用プロジェクトは、現場部門の人が旗を振らないと進まない。全社横断部門のデータサイエンティストが主導しようとしても、現場がデータドリブンの考え方になっていないとうまくいかない」(孝忠氏)。

 NECグループのデータサイエンティストは、3~4年前までは全社横断的な組織に多く所属していたが、最近はもっぱら事業部門で増えている。「例えば、調達購買に詳しいデータサイエンティストがいる。調達量を予測したいときに、最新のデータサイエンスの技術について全社横断的組織に支援を求めてくる」(孝忠氏)。今後も事業部門で活躍するデータサイエンティストの育成に力を入れる方針だ。

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