一般家庭向けに、家電製品やEV(電気自動車)などの電力負荷の消費状況を、スマートメーターからの情報だけで分析するAI(人工知能)ソリューションを開発するエネルギーベンチャーが登場し、米国でビジネスを拡大している。アグリゲーション(集約)とは逆に、全体の電力消費量から各負荷に分解することから、「ディスアグリゲーション」と呼ばれる。これらの情報を需要家に提供することで、顧客エンゲージメントを上げる狙いがある。

 家電製品の電力消費データを把握するにはこれまで、分電盤に電流センサーを設置したり、各家電製品にスマートコンセントなどのハードウエアを追加で設置する必要があった。その分、コストがかかるために普及を阻んでいた。

 一方で、スマートメーターを中核としたAMI(Advanced Metering Infrastructure)システムは、電力会社の検針作業の効率化やスマートグリッドプロジェクトとして、世界レベルで普及が進んでいる。スマートメーターからのデータだけでより低コストで各家電製品の電力消費量を把握できれば、需要家に対するサービスを強化できる。

 例えば、米国シリコンバレーに本社を構えるBidgelyが開発した「ディスアグリゲーション」手法は、2段階から成る(図1)。

 第1段階では、AMIから取得した全電力消費量のデータを同社が独自に開発したAIのアルゴリズムにより、常時使用している機器のベースロード消費や電力消費量の大きい主要な家電製品ごとの消費量に分解する。この段階でベースロードに加えて、主要個別機器、例えば、エアコンなどの冷暖房機器、照明、冷蔵庫のほか、プールポンプや温水器などの電力消費量が算出される。同社はこれにより、「全体の消費量の50~70%程度は分解できる」としている。

図1●第1段階としてAMIデータを基にAIのマシンラーニングにより主要家電製品に50~70%まで分解する。第2段階として、顧客プロファイル情報を基に100%分解する
(出所:Bidgely)

 同社のソリューションは実ビジネスとして普及し始め、数百万レベルを超すAMIデータを分解するまで成長してきたことから、機械学習による学習効果が次第に高まってきて、「分解の精度が上がってきている」という。同社はこのAIを使ったアグリゲーション手法を欧米各国で特許出願している。

 第2段階としては、テレビ、オーディオなどのエンターテインメント機器や調理機器、パソコンなど、比較的消費量が小さく、需要家の生活習慣によって変化するために、AIアルゴリズムだけでは捉えきれない機器を分解していく。

 この場合、需要家の家族構成や住宅の大きさなどのプロファイル情報を活用した統計的ルールを併用して分解することによって、「100%のディスアグリゲーションが可能になる」という。需要家が最近導入し始めたEV(電気自動車)の充電器についても、電力消費量を分解できるという。

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