欧州自動化ショー──。そう言っても過言ではないほど、今回の欧州工作機械見本市「EMO2019(通称EMOショー)」(2019年9月16~21日、会場はドイツ・ハノーバー国際見本市会場)は自動化提案が目立っていた。例えば、DMG森精機は展示した45台の工作機械のうち、6割を超える29台に自動化システムを搭載した。理由はシンプル。欧州のものづくりの現場が自動化を渇望しているからだ。

 自動化のニーズの高さは日本も同様だ。だが、欧州の切迫度合いは日本の上をいく。欧州では総じて日本よりも人件費が高い上に、労働時間の制約が厳しくて熟練作業者の確保が難しいからだ。欧州のユーザーが直面しているこの問題を解消すべく、日欧の工作機械メーカーは従来の自動化を超える「自動化2.0」とでも呼ぶべき自動化技術の開発・提案に力を入れている。

120kgの自動車部品を自動でハンドリング

Fill Gesellschaftの自動加工システム
120kgの大物ワーク(自動車のボトムフレーム)の搬送から加工、搬出までを自動で処理する。(写真:日経 xTECH)
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 自動車の大物部品の自動加工システムを開発したのが、オーストリアのフィル・ゲシェルシャフト(Fill Gesellschaft)だ。手前に可搬質量が250kgの6軸垂直多関節ロボット(ロボット)を2台、奥に2つの主軸を備えた(ツイン主軸の)4軸制御タイプの横型マシニングセンター(MC)「SYNCROMILL U」を設置。ロボットと横型MCの間を、ちょうど橋を架けるように、自動搬送機であるガントリーローダーでつないだ構造だ。

ワークをハンドリングするロボット
5人分の作業者の代わりに稼働する。(写真:日経 xTECH)
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 ワーク(被切削物)は、質量が120kgのボトムフレーム。従来は5人以上の作業者が同時に持たなければならないこの重いボトムフレームを、1台のロボット(ロボットA)がピックアップし、もう1台のロボット(ロボットB)に受け渡す。ワークを受けたロボットBは、それをガントリーローダーに載せる。ガントリーローダーはワークを横型MCの天井部分まで搬送。すると、横型MCの天井部に設けたシャッターが開き、ワークが横型MCの中に取り込まれてテーブルにクランプ(固定)される。

ガントリーローダー
ロボットが載せたワークを工作機械に運ぶ。(写真:日経 xTECH)
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 この横型MCの2つの主軸は、同期して動くことも、それぞれが独立して動くこともできる。これにより、ワークの切削時間を短縮する。切削を終えると、ワークは横型MCの天井部から取り出され、ガントリーローダーに載せられてロボットの所まで運ばれる。ワークが来たらロボットがそれを把持し、ガントリーローダーから下ろす仕組みだ。

横型MCの加工部
2つの主軸で切削するため、加工時間を短縮できる。(写真:日経 xTECH)
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 同社はドイツとオーストラリアでこの自動加工システムを販売する計画だ。現在のところ日本のユーザーはいないという。

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