NECが開発中の“癌ネオアンチゲンワクチン”が、近く欧米で治験に入る。ネオアンチゲンワクチンは患者1人1人に異なるワクチンを設計して投与するもので、成功すれば創薬パラダイムの変革につながる事業になる。IT大手はプレシジョンメディシンの寵児となることができるだろうか。

 2019年6月24日に開催した第181期定時株主総会でNECは定款の一部変更を行った。事業目的に『医薬品、医薬部外品、試薬その他の化学製品の製造及び販売その他の処分並びに医療支援サービス及び検査サービスの提供』を新設したのだ。定款変更の理由として同社は「今後の成長領域であるヘルスケア事業領域において、最新技術を活用した医療システム事業に加えて創薬関連事業をさらに推進し、社会ソリューション事業を拡大する」ためと説明している。

 「IT企業の中で医薬品の製造を定款にうたっているのはNECだけ」と語るのは、同社のHealthTech事業開発室の北村哲室長だ。確かにIT業界の大手が創薬関連事業に進出する先行事例は幾つかあるが、いずれも製薬業への支援にとどまるものばかりだった。自ら薬事の承認を取得し、製造販売に乗り出すことは異例中の異例だ。

NECでHealthTech事業開発室長を務める北村哲氏

 株主総会の当日、NECの提案に対して、株主からは疑問や反対意見は出なかったが、日ごろ取材で接している記者の間からは「NECは本気だったんだ」という感想が漏れたという。

ネオアンチゲンワクチン事業化の課題

 NECは本気だ。

 同社を本気にさせた背景には、癌免疫療法が個別化を追求すべき段階に到達しつつあること、そこでは患者1人1人に合った抗原を予測する必要があり、そのために必要な高度な人工知能(AI)技術を保有しているという同社の自負がある。

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