痛みがなく、被曝(ひばく)しない乳がん検査の新手法を開発する神戸大学発ベンチャー企業のIntegral Geometry Scienceが、凸版印刷などから総額約20億円を調達した。

マイクロ波マンモグラフィーのプロトタイプ機
(出所:神戸大学)

 開発した新手法は「マイクロ波マンモグラフィー」と呼ばれる。マイクロ波は、乳房のほとんどを占める脂肪や乳腺を通過するため乳がん検査に適している。しかし、がんに跳ね返った後の波動からがんの位置を計算して可視化するのが難しく、実用化されていなかった。マイクロ波を利用した乳がん検査装置の原理的な壁を打ち破ったのが、神戸大学数理・データサイエンスセンター教授でIntegral Geometry Science 最高戦略企画責任者(CSO)の木村建次郎氏だ。

 木村氏らの研究チームは、マイクロ波が物体に跳ね返った後の波動を解析するための方程式を導き、それを解くことで可視化に成功した。日欧中9カ国で、「散乱の逆問題の解法と画像化」として特許を取得している。この技術は、乳がん検査などの医療画像だけではなく、資源探査や老朽化するインフラ構造物の計測、遺跡探査の分野などでの可視化にも応用可能だという。

木村氏らが導いた方程式
(出所:神戸大学)
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 Integral Geometry Scienceは、開発したマイクロ波マンモグラフィーを利用し、実際に乳がんと診断された300人ほどの患者や健常者50人ほどを対象に臨床研究を実施してきた。「マイクロ波マンモグラフィーで乳がん患者を見逃したことは1度もない」(木村氏)。今後、装置の大量生産のめどをつけた後、2020年度に治験を開始し、医療機器として承認申請する。承認後2021年秋以降の発売を見込んでいる。2019年4月に厚生労働省の「先駆け審査指定制度」に指定されており、承認申請すれば半年ほどで承認される可能性が高い。

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