アジア最大級のディスプレー学会「IMID(International Meeting on Information Display)」が、2019年8月27~30日に韓国の古都・慶州(キョンジュ)で開催された。IMIDの開催は今年で19回目。開催地の慶州は新羅の都として栄えた古い都市であり、日本でいえば京都や奈良に当たる。韓国を代表するアジアの観光都市であり、世界遺産の石窟庵(ソックラム)や仏国寺がある他、数多くの古墳や史跡が街の至るところにある。なお、ここ数年のIMIDは済州(チェジュ)、釜山(プサン)、慶州と韓国を代表する観光地で開催されてきたが、来年(2020年)のIMIDは再びソウルへ戻り、「COEX(コエックス)」での開催となるそうである。

 今回のIMIDでは、会場で受け取れるファイナルプログラムの冊子に変化があった。これまでは、裏表紙の手前のページには、日本で年末に開催される「IDW」と、米国で翌年に開催される「SID」の2つの国際学会が案内されていた。ところが今回は、それらに加えて、中国で開催される「ICDT(International Conference on Display Technology)」の案内が載っていた。韓国開催のIMIDとしても、中国の技術動向を非常に重要だと捉えていることの証だろう。この案内によると、次回のICDTは2020年3月29日~4月1日に湖北省の武漢で開催されるそうだ。ぜび参加しようと考えている。

 IMIDの話に戻そう。今年は合計693件の投稿があり、646件が受理され、例年並みの論文数を確保していた。国・地域別に見ると、地元・韓国からが441件と圧倒的に多い。海外からは、19の国・地域から合計182件の発表があった。内訳は、日本から68件、中国から48件、米国から16件、台湾から11件、ドイツから10件と続く。昨年(2018年)は中国からだけでも85件、台湾と米国からそれぞれ20件の発表があり、これらの国・地域からの発表は減った。一方、日本からの発表は昨年の61件からむしろ1割以上増えている。最近何かと騒がしいニュースが多い日韓関係だが、こうした民間レベルではしっかり地に足の着いた交流を続けていってほしい。

 帰りに新慶州駅までタクシーに乗った時、運転手さんが細かい釣り銭を持っていなかったのでおつりをまけてくれた。私の拙い韓国語により日本人だと分かった上での親切だろうが、「いい思い出を持ち帰ってもらいたい」という素直な気持ちがとてもうれしかった。

 今回のIMIDの会場となったのは、慶州市の「Gyeongju Hwabaek International Convention Center(HICO)」である。基調講演が行われたコンベンションホールは、大型スクリーンが3台配置され、ディスプレー分野で最大の学会「SID」の基調講演会場に匹敵するほど大きかった。参加人数を考えると、この会場を仕切って使っても全く問題ないのだが、あえて仕切らずに使うところに、ディスプレー産業に命運を懸ける韓国の危機感と意地を感じた。

会場となった「Gyeongju Hwabaek International Convention Center(HICO)」
(写真:筆者が撮影)
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別の角度から見たHICO。近くの湖畔が大きな公園として整備されており、水鳥を眺めながらのんびり散策を楽しめる。
(写真:筆者が撮影)
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基調講演が行われたコンベンションホール。
(写真:筆者が撮影)
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金浦(キンポ)空港の待合室においてあった韓国サムスン電子の8Kテレビ
IMIDの展示会場にあったサムスン電子(Samsung Electronics)の展示品はすべて撮影禁止だったので、代わりにこれを紹介しておく。有機EL(OLED)への対抗意識が強いためか「QLED」という言葉を全面に出している。しかし、実際にはQLED発光デバイスではなく、QD(量子ドット)色変換デバイスを用いた8K液晶テレビのようだ。コントラストが低いことから、白色有機EL(WOLED)とQD色変換デバイスを組み合わせた「QD/OLED」テレビではないとみられる。後編で紹介予定の韓国LG電子(LG Electronics)の8K有機ELテレビに比べるとコントラストで大幅に劣り、8Kと書かれていなければあまり印象に残らないと感じた。(写真:筆者が撮影)
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