「クールジャパン」を推進する政府が力を入れる、マンガの海賊版サイト対策が岐路に立っている。総務省が検討してきた「アクセス警告方式」の導入が当面、困難となったからだ。同方式は海賊版サイトを閲覧しようとするユーザーに対して警告画面を発する対策である。

 一方で、政府はより強力な対策も省庁横断で導入を目指している。例えば文化庁は著作権を侵害する静止画コンテンツのダウンロードを違法化する法案提出を目指すほか、海賊版コンテンツのリンクをまとめた「リーチサイト」を封じるための法制化を検討中だ。

 さらには、関係者の議論が紛糾して一度は断念した「ブロッキング方式」も諦めていない。2019年7月に内閣府の知的財産戦略推進事務局がまとめた総合対策メニュー案では、被害状況や他の取り組み状況を見ながら、最終手段としてブロッキング方式を検討すると掲げた。

内閣府が示した海賊版対策の総合メニュー案
(出所:内閣府)
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 しかしアクセス警告方式の検討で先行した総務省の議論で見えたのは停滞感だった。ダウンロード違法化やブロッキングなど法制面の検討が必要な他の対策にも課題があり、効果への疑問も浮上しているからだ。

主流のHTTPS、警告画面を表示しにくい

 アクセス警告方式は、通信事業者やインターネット接続事業者がユーザーが閲覧するサイトを監視し、海賊版サイトにアクセスした際に画面に警告を出す技術を使う。IPアドレスやURLなどからサイトの内容を判定し、ユーザーとWebサイトのHTTP通信に介入して警告画面を表示する。警告画面を見てサイトを離れるか閲覧するかの判断はユーザーに任せる。

 ユーザーの自主性に委ねる点で、海賊版サイトへの接続を強制的に切断する「ブロッキング方式」よりは権利侵害の度合いは低いと考えられる。ただしユーザーとサーバーの通信に介入するなど、憲法で保障された「通信の秘密」に抵触する点でブロッキング方式と同じ問題をはらむとされる。

 総務省の有識者会合が2019年8月8日にまとめた結論では、アクセス警告方式には技術面と法制面の両方に課題があるとした。技術面の課題は、通信内容を暗号化するプロトコル「HTTPS」が主流になりつつある点だ。HTTPSで接続したサイトはIPアドレスが判明してもURLが一部秘匿されるなどするため、サイトの内容を特定する精度が落ち、警告画面を挿入する技術的な難易度も高い。

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